MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》㉙(佐藤正臣)

2023/11/29 06:00 更新


(第2項)目標設定・管理の重要性

6.PDCAサイクルの活用④

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Tさん、前回の講義で、C(CHECK)の精度を上げるには、どのようなことが大事とお伝えしましたか?


はい。C(CHECK)の精度をあげるには、

 A.出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する

 B.“IF検証”を行う

この2つが大事だと教わりました。また、前回の講義ではAの「出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する」検証を学びました。


Tさん、ありがとうございます。ということで、今回の講義は、Bの「“IF検証”を行う」について考えてみます。

前回の講義で、IF検証について「もしも○○が●●●だったら、結果はどうなっていた?」と簡単に触れましたが、今回は具体的な例を挙げて、IF検証の重要性についてをお伝えできればと存じます。


よろしくお願いいたします。


今回も私の専門であるMDに関することで、IF検証の具体例をお伝えします。

今回は、架空の商品Bで検証を考えてみます。

  • 商品Bの販売期間は1か月。発注数量は500点
  • この商品をショップに展開した結果、10日で商品が完売した!

こんな例があったとします。


せんせ、前回の講義と例が似ていますね。


確かにそうですね。そこはスルーして、話を進めさせていただきますね。

では、商品BのIF検証を考えてみます。まずは商品Bを、数字を使った検証を行ってみましょう。

 →10日(完売した期間)÷31日(商品Aの販売期間設定)=32.3%

 →500点÷32.3%≒1548点(この商品の売上予測数)

となり、1か月という販売期間の売上予測数は1548点となります。


ここまでは、前回の講義と同じですね。


Dさんが仰る通りです。ですが、この検証を先に行わず、500点という目の前の数字だけで検証を行うと、売り逃した数量の分が反映されず、次回の発注でミスを犯してしまいます。


なるほどです。


先述した数字検証を基に、さらに以下の2つのIFを加え検証します。

 ①今年の倍売れる。発注数量3,110点

 ②今年の60%の売上に下がる。発注数量933点

①は今年よりも売れるというIF。②は今年よりも売れないというIFです。ここに数字を加え検証すると、来年この商品を発注する際の、具体的な材料が揃います。また、お二人ともお気づきだと思いますが、①②のケースともに、今年の商品Bの発注数量よりもだいぶ数量を増やさなければならない!ということが理解できるはずです。


せんせ、このIF検証をショップ視点で考えてみると、

 →もし、ショップのVPにA商品ではなく、C商品を置いておけば売上数が何点になった?

 →もし、SNSの投稿時間を変更したら、エンゲージメントはどのくらい上がる?

このような検証の仕方よろしいでしょうか?


ブラボー!流石Dさんです。そのような感じでよろしいかと思います。


とても勉強になります。ですがせんせ、IF検証が大事だということは理解できるのですが、私のような経験の浅いものにとって、IF検証を行うのは難しく感じます。IF検証を行う際に、意識する点などがあれば、教えていただきたいです。


Tさん、よい質問です。私も最初は“IF"を使った仮説を立てることがとても難しく感じていました。私がIF検証を行う上で意識したことは、「逆説を立てることを意識すること!」です。


逆説を立てる??


Tさんにも伝わるように逆説を説明します。例えば、売れた場合は、良いところではなく悪いところを探す。「もし、○○をしていれば、もっと売上が伸びた?」などですね。


なるほどです。なんとなくですが、逆説の意味は掴めてきました。ありがとうございます。


では、PDCAに関する話のまとめに入ります。

PDCAを回して業務の向上を図るには、検証の精度を上げることが重要である!ということを意識して、今後のショップ運営に活かしていきましょう!


かしこまりました。


今回の講義で(第2項)目標設定・管理の重要性は終了です。次回の講義から、(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?という項に入ります。


この項はとても楽しみにしています!


(プレッシャーを感じる……。)


では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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