(第2項)目標設定・管理の重要性
6.PDCAサイクルの活用④
Tさん、前回の講義で、C(CHECK)の精度を上げるには、どのようなことが大事とお伝えしましたか?
はい。C(CHECK)の精度をあげるには、
A.出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する
B.“IF検証”を行う
この2つが大事だと教わりました。また、前回の講義ではAの「出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する」検証を学びました。
Tさん、ありがとうございます。ということで、今回の講義は、Bの「“IF検証”を行う」について考えてみます。
前回の講義で、IF検証について「もしも○○が●●●だったら、結果はどうなっていた?」と簡単に触れましたが、今回は具体的な例を挙げて、IF検証の重要性についてをお伝えできればと存じます。
よろしくお願いいたします。
今回も私の専門であるMDに関することで、IF検証の具体例をお伝えします。
今回は、架空の商品Bで検証を考えてみます。
- 商品Bの販売期間は1か月。発注数量は500点
- この商品をショップに展開した結果、10日で商品が完売した!
こんな例があったとします。
せんせ、前回の講義と例が似ていますね。
確かにそうですね。そこはスルーして、話を進めさせていただきますね。
では、商品BのIF検証を考えてみます。まずは商品Bを、数字を使った検証を行ってみましょう。
→10日(完売した期間)÷31日(商品Aの販売期間設定)=32.3%
→500点÷32.3%≒1548点(この商品の売上予測数)
となり、1か月という販売期間の売上予測数は1548点となります。
ここまでは、前回の講義と同じですね。
Dさんが仰る通りです。ですが、この検証を先に行わず、500点という目の前の数字だけで検証を行うと、売り逃した数量の分が反映されず、次回の発注でミスを犯してしまいます。
なるほどです。
先述した数字検証を基に、さらに以下の2つのIFを加え検証します。
①今年の倍売れる。発注数量3,110点
②今年の60%の売上に下がる。発注数量933点
①は今年よりも売れるというIF。②は今年よりも売れないというIFです。ここに数字を加え検証すると、来年この商品を発注する際の、具体的な材料が揃います。また、お二人ともお気づきだと思いますが、①②のケースともに、今年の商品Bの発注数量よりもだいぶ数量を増やさなければならない!ということが理解できるはずです。
せんせ、このIF検証をショップ視点で考えてみると、
→もし、ショップのVPにA商品ではなく、C商品を置いておけば売上数が何点になった?
→もし、SNSの投稿時間を変更したら、エンゲージメントはどのくらい上がる?
このような検証の仕方よろしいでしょうか?
ブラボー!流石Dさんです。そのような感じでよろしいかと思います。
とても勉強になります。ですがせんせ、IF検証が大事だということは理解できるのですが、私のような経験の浅いものにとって、IF検証を行うのは難しく感じます。IF検証を行う際に、意識する点などがあれば、教えていただきたいです。
Tさん、よい質問です。私も最初は“IF"を使った仮説を立てることがとても難しく感じていました。私がIF検証を行う上で意識したことは、「逆説を立てることを意識すること!」です。
逆説を立てる??
Tさんにも伝わるように逆説を説明します。例えば、売れた場合は、良いところではなく悪いところを探す。「もし、○○をしていれば、もっと売上が伸びた?」などですね。
なるほどです。なんとなくですが、逆説の意味は掴めてきました。ありがとうございます。
では、PDCAに関する話のまとめに入ります。
PDCAを回して業務の向上を図るには、検証の精度を上げることが重要である!ということを意識して、今後のショップ運営に活かしていきましょう!
かしこまりました。
今回の講義で(第2項)目標設定・管理の重要性は終了です。次回の講義から、(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?という項に入ります。
この項はとても楽しみにしています!
(プレッシャーを感じる……。)
では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~
佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp