MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》㊳(佐藤正臣)

2024/03/18 06:00 更新


(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?

10.売れ筋商品の立ち位置を具体的に把握するには?②

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前回の講義は、商品の販売期間の設定を知ることで、自分たちのショップが、(該当商品を)どのくらいの数量を売る必要があるのか、数字で具体的に知ろう!という内容でした。

今回の講義は、売れ筋商品を見極めるポイントして、売上金額・売上点数ランキングを見る際のポイントをお話できればと存じます。



今回もよろしくお願いいたします。



売れ筋商品と一言で言いましても、商品によって役割や立ち位置などはそれぞれです。

例えば以下が挙げられます。

  • どのくらいのスピードで売れれば売れ筋商品と言えるの?
  • 売上点数・売上金額のどちらを重視したら良いの?
  • 売れ筋商品をショップの目標設定に活用するには、どのように考えたら良いの?



なるほどです。



では、Tさんに質問です。Tさんは、週次・月次等の商品単品の売上ランキング表を見る際に、売上金額ランキングを見ていますか?それとも、売上点数ランキングを見ていますか?そして、売上金額・売上点数のどちらがより重要だと考えますか?




私の会社は、売上金額ランキングになっていますので、売上金額ランキングだけみています。ですので、売上金額が大事でしょうか?



因みに、私は両方をチェックしています。Tさん、私どもの会社では、表計算ソフトで売上ランキングが表示されるので、売上金額・売上点数両方のランキングがチェックできるようになっています。



そうなのですか…。Dさん、今度私に指導してください。



了解しました。

では、ここからは私がせんせに変わってお話させていただきますと、ショップマネージャーである店長は、売上金額・点数どちらもチェックしてください!

売上ランキングを金額順で出す組織が多いのは、売上金額がアップすれば粗利高もアップし、会社の損益に直結するなどの理由があるからだと存じますが、売上金額ランキングだけみると、ショップの現状やお客様の本質を捉えられない可能性が高まります。



なるほどです。



(私の出番がない…)



それでは、売上金額・売上点数をチェックする際のポイントについて、以下お伝えいたします。先ずは、売上点数ランキングをチェックする際のポイントです。

  • 売上点数が多くても単価が低いと売上金額では上位にこない。
  • 売上点数の高い商品は、ショップの集客にも繋がるので、重要な位置づけとなる。

他にもあるとは思うのですが、こんな感じでしょうか?



なるほどです。確かに、売上点数の多い商品は、ショップの集客や(買上)客数などのアップに直結しますね。売上金額ランキングばかりチェックしていると、集客や客数アップに必要な商品を見落とす可能性がある!ということですね。



流石Tさん、その通りです。



(全く出番なし)



次は売上金額ランキングをチェックする際のポイントです。

  • 高単価の商品だと1点売れただけで1位になる可能性がある。
  • 売上金額ランキングはショップの売上・粗利の貢献度を表す指標となるので、極めて重要なもの。
  • 売上金額と同時に売上構成比のチェックをすると効果的。

他にもあるとは思うのですが、こんな感じでしょうか?



なるほどです。

Dさんが、先述されたように、売上金額ランキングは損益等に直結するので重要!ということは、理解できたのですが、確かに言われてみれば、セレクトショップである弊社の場合、高単価な商品が1点売れただけでも、売上金額ランキング上位に入ってくる可能性が高いですね。



Tさん、その通りです。

ですので、ショップで商品の目標設定を行う際に、1点売れると売上貢献の多い高単価なセレクト商品ばかりの場合、確かに売上目標は獲得できる可能性は上がるかもしれませんが、ショップのコンセプトを体現できない、さらにいえば、先の客数低下に繋がる可能性が高まります。



なるほどです。とても勉強になります。



ですので、ショップの目標設定を行う際は、商品の売上金額だけでなく、商品の売上点数の目標を併せて掲げておくと効果的です。

さらに付け加えると、商品の売上金額目標に加えて、売上構成比の数字を併せて掲げておくと、「目標設定商品が目標通り売れれば、それだけでショップの売上予算の〇〇%は獲得できるのね」と、ショップスタッフに周知させることができますから、よりショップスタッフのやる気を促すことにも繋がるかもしれません。



Dさん、ありがとうございます。明日からすぐに実践します!



ということで、今日の講義は終了です(今回は全く出番なし…)。

次回は、どのくらいのスピードで売れると売れ筋商品といえるのか?、具体的にシミュレーションしてみます!



では、皆さん。次回もお楽しみに!


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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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