オンワードホールディングス(HD)は10日、中核事業会社であるオンワード樫山の役員人事で、馬場昭典社長が退任してHDの副社長に、大澤道雄取締役兼専務執行役員が新社長に就くなど大幅な体制の変更を発表した。3月1日付で実施する。馬場HD新副社長はグループ全体の次世代事業開発担当に専念する。樫山ではほかに廣内武会長が退任(HD会長は継続)し、会長職を廃止するなど若返りを進める。
今回の体制変更について、保元道宣HD社長は「グローバル化やオムニチャネルなどファッション・アパレル産業を取り巻く環境変化に、グループ横断的に対応するため」と説明する。
馬場氏は樫山で「23区」をはじめとする企画部門が長く、企画ノウハウや業界の内外に広いネットワークを持つ。これらを生かし、今後はIT(情報技術)の活用など「先の先を見越した新しい事業の開発に腰を据えて取り組み、グループ全体で一気通貫に進める」ことが狙いだ。
新規事業とは言え、柱は「中核であるアパレル事業」。オムニチャネル時代を迎え、スピードが求められるなかで「高感度高品質の原点を保つという、一見矛盾した難しい挑戦」となる。そのうえで、将来的には、2月に買収したオーガニック化粧品のココバイなどライフスタイル分野との融合や相乗効果の発揮を期待している。
一方、大澤新社長は子会社のオンワード商事が長く、グループ全体の生産やアジア事業も管轄している。こうした経歴から、生産・調達のコスト削減やスピードアップに加え「日本だけでは成長は難しく、アジア事業の拡大が不可欠」と期待をかけている。
樫山は取締役8人のうち、2人の専務執行役員も退任(いずれも樫山以外の役職は継続)する。「後継人材が育ち、思い切った若返り」のタイミングと判断したものだ。また、会長職廃止は持ち株会社への移行当時からの懸案だった。
