仙台のインナー・レッグの専門店の大内屋は、16年1月に仙台市の本店とセルバ店を閉店し、廃業する。
大内屋は1676年創業の老舗。江戸時代に古着屋から始まり、綿や麻を扱う太物、その後は呉服を商ってきた。大内友幸現社長は12代目。
専門店として最盛期の2000年頃には、レディスのアウター専門店とインナー専門店を、宮城、青森、岩手県内に14店構え、年商は30億円を超えていた。現在はインナー・レッグ主力の2店となり、年商は約10億円。仙台の一等地にある本店は年間16万人が来店する、単店舗としては東北最大のインナー・レッグ売り場だった。
廃業について大内社長は、「築46年の本店が老朽化し、耐震工事が必要になった。耐震工事には億単位で費用がかかる。今の利益では難しい」と判断した。本店の跡地をどうするかは、検討中という。
インナー専門店を取り巻く環境変化も、廃業を決めた背景にある。以前は数多くあった専門店向けのインナーメーカーの減少、量販店やインターネットでの値引き販売の常態化、近郊でのアウトレット開業、SPA(製造小売業)の増加など、NBを軸にプロパー販売をしてきた同社にとって様々な逆風が吹いた。商品で差別化したいと考え、「個性派ブランドの導入を積極化したが、大きな売り上げは取れなかった」。また、オリジナル商品を開発しようとイタリアや国内工場に出かけたこともあったが、数量の問題などがあり、実現は難しかった。
総合職正社員、契約社員、販売正社員、パートなど約40人のスタッフの中には20~30年と長く勤めたスタッフも多い。取り引き先の直営店や入居していたファッションビルでの再就職を進めているが、「ほとんどが閉店まで勤めると言ってくれている。従業員には非常に申し訳ない気持ちだ」。取引先も、閉店セールへの協力や今後の取引条件など、好意的に対応してくれているという。
「40年以上支えて頂いた」ワコール安原弘展社長
非常に残念に思っています。大内屋様とは1970年に取り引きを開始し、40年以上にわたって長く支えていただきました。心より感謝いたします。事業への影響は少なからずありますが、お客様にご迷惑をかけないよう、地域の販売体制を強化したいと思います。