「アワーホーム」が運動を後押し 〝素人集団〟だからこそハードルは低く

2025/08/06 10:59 更新NEW!


 暮らしの情報発信とオリジナル商品をECで販売する「OURHOME(アワーホーム)」(アイブリッジ、兵庫県西宮市、田辺良平社長)は、新たにウェルネスブランド「HIRAKU」(ヒラク)を立ち上げた。運動のプロがいない〝素人集団〟が作るからこそ、ハードルは低く。ブランドを通して運動を習慣化するきっかけを作る。

(金谷早紀子)

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体形変化に気づき

 始まりは、主宰の田辺絵美(Emi)さんが顧客と交流するなかで、体形の変化に気づいたこと。19年にアパレルの販売を始めたことで、顧客に近づいて接客したり、体に触れる機会が増え、細身でもお腹がぽっこりと出ていたり、肩が内巻きになっている人が多いことに気がついた。服を素敵に着てもらうためにと、昨年は、ユーチューブで体形カバーのコーディネート提案を発信。人気コンテンツになったが、「これだけじゃ足りない。運動を始めるきっかけを作って、体を整える発信をしていかなければ」という使命感から、ブランドの立ち上げに至った。

ユーチューブでは、スタッフによる等身大の内容が好評

 まずは、社内でスポーツウェアに関する困りごとを聞き取り、目指す方向性を定めていった。「大手チェーンのウェアはしっくりこない」「子供のTシャツを着て運動すると間借り感がある」「運動はしないけど子供の部活の玉拾いが出来るパンツが欲しい」。具体的な着用シーンやウォンツを掘り下げることで、ブランド像が固まった。対象は、一般的なスポーツウェアでは満足できないが、ヨガブランドでの買い物には気後れする層だ。

過去最高の視聴者数

 ブランド名のヒラクは、肩を開くという動作に加え、心や新しい扉を開くという精神的なメッセージも込めた。ウェア5型から始め、運動不足の体でも美しく見えるデザインにこだわった。例えば、サイドにスリットが入ったニットトップ(税込み9790円)は、サイドを結ぶとアシンメトリーになり、すっきりとしたシルエットに見せる。水陸両用のショートパンツは、スポーティーになりすぎないように裾のスリットに丸みをつけた。

運動不足の体でも美しく見えるデザインにこだわった(Emiさん)

 顧客の中で運動習慣がある人は少ないとみて、不安と自信が入り混じるなか、6月13日にライブ配信でブランドを発表。平日の昼間ながら3000人と過去最高のリアルタイム視聴者数を記録した。6月24日の発売日には、アワーホームの売り上げ1位にヒラクのテーパードパンツが浮上した。「更年期が迫って運動習慣をつけたかった」「これを機に運動を再開した」というメッセージが続々と寄せられ、顧客と思いが合致していることを確信した。

 7月22日には、西宮市の夙川エリアにショップをオープンした。店内でレッスンを開催したり、体の状態が測れる機材を導入したりと、「訪れるだけでスイッチが入るような場所」に育てていく。今後の情報発信も、「例えば本気でラジオ体操をするような、素人の私たちだから出来る発信ができたら」と気張らない。顧客と一緒に健康で素敵に歳を重ねたいと、等身大の提案で背中を押していく。

西宮市のショップではレッスンも開催する

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