【パリ=小笠原拓郎、青木規子】24~25年秋冬パリ・ファッションウィークは初日、2日目と若手ブランドが勢揃いした。公式スケジュールで発表するブランドだけでなく、オフスケジュールでのプレゼンテーションも相次いだ。いずれも日常性をベースにしながら、いかに独自のスタイルを作るかが焦点になっている。
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若手デザイナーの持つ純粋な創作へのエネルギーは、予定調和のブランドビジネスとは異なる魅力を発揮する。
ヴァケラはストリートのエネルギーにあふれるコレクションを見せた。そのはちゃめちゃなパワーは、かつてのジャンポール・ゴルチエにも通じるものがある。ガーターベルトと下着をあらわにしたスタイル、フェイクファーのベアバックトップ、チュールトップにはTバックとオーバートラウザー。軽快なストリートスタイルは、大胆に肌を見せてもまるで普通のこと。デニムドレスやジャージーのトラックスーツと同じように、乳房を露出するセーターが存在する。ヴァケラにとっては、下着は見せるべきもの、あらわにしてもよいものとでもいうようだ。エッフェル塔のプリントドレスにファージャケット、お札をプリントしたドレスやお札のプリント地をコサージュ状に重ねたトップ。キッチュな雰囲気と毒気をはらみながらも、服としてのクオリティーはちゃんと維持しているため、それが迫力へとつながっていく。かつてのマルケス・アルメイダのように、若い世代のハートをきっちりとつかみそうな勢いを感じさせる。
マメ・クロゴウチは前シーズンに続き、日本の焼き物に着目した。今回、注目したのは16世紀後半に広がった古唐津。前回の伊万里に比べると表情はシンプルで素朴、土のテクスチャーが感じられる。そのさりげないニュアンスを服に投影し、控えめながらこだわり抜いたコレクションとなった。茶わんに浮かび上がる絶妙なグラデーション。その計算のない柄をチャンキーニットに浮かび上がらせ、デニムパンツを有松染めで表現した。
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