植物由来原料から作られ、生分解性を持つ合成繊維のPLA(ポリ乳酸)繊維が改めて注目されている。日本では合繊メーカーが20年以上前から事業化しているが、素材の特性上、繊維では一部資材に用途が限定され、衣料品にはほぼ使われていなかった。昨今、プラスチックごみ問題やカーボンニュートラルへの関心が高まり、改質剤の工夫で染色性や耐熱性を改良したPLA繊維がベンチャー企業などから登場し、衣料にも採用が進み出した。
(中村恵生)
抗菌防臭なども訴求
PLAはトウモロコシやサトウキビといった植物のデンプンを発酵させた乳酸から作るポリマー。ポリエステルの一種に区分され、家庭用品品質表示法では「ポリ乳酸」と表示する。自然環境中で水分によって加水分解された後、微生物によって二酸化炭素と水に分解され、高温多湿の堆肥(たいひ)の中で促進される。日本では00年前後に複数の合繊メーカーが事業化しているが、耐熱性や染色性に課題があり、フィルムや容器のほか、繊維ではティーバッグ、農業などの資材用途に限定された。
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