19年春夏ミラノ・メンズコレクション プラダ

2018/06/19 06:28 更新


 【ミラノ=小笠原拓郎】19年春夏ミラノ・メンズコレクションは、スポーツを背景にしたストリートスタイルが全盛となった。秋冬レディスコレクションのトレンドのネオンカラーを生かしたスポーティーなアイテムが勢揃い。トラックパンツにジャージートップ、厚底のスニーカー、そのコーディネートの中にイエローやグリーン、オレンジのネオンカラーが差し込まれる。ここ数シーズン続くトレンドのど真ん中なのは、やっぱりここしか売れないからなのか。

 とはいえコレクションの本質は、次の新しいものを提案すること。このスポーツストリートスタイルとどういう距離感を取りながら、次のステップを踏むのか。デザイナーのセンスが問われている。

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クリーンな色でミニマル プラダ

 プラダのショー会場に入ると、透明な白いビニールの床に真四角の白いビニールの椅子が整然と並んでいる。床には緯度と経度を表す数字やアルファベットが繰り返すようにプリントされていて、どこか未来的で強迫観念のようなものを感じる。そこに登場するのはプラダらしいクリーンな配色のミニマルなスタイル。グレー、ボルドー、ブラウン、ネイビー、グリーン、ピンク、オレンジ、キャメル。ノッチドラペルのシェイプの利いたジャケットに細身のストレートパンツ、ポロシャツとハイネック、マイクロ丈のショートパンツ。そんなアイテムを様々な色で組み合わせる。

 60年代を思わせるサイケデリックなフラワー柄をジャージートップにのせ、カラフルな布ベルトやボリュームを入れた耳当て付きの帽子をアクセントにする。ミラノらしいエレガントで大人っぽいスーツスタイルは一切なし。すべてが軽やかでクリーンなコーディネートだが、しっかりとしたテーラードジャケットをキーアイテムにするあたりにプラダの気骨がうかがえる。足元も厚底のスニーカーだけではなく、レトロなスニーカーやデッキシューズを出している。

 ドレスコードが希薄になり、自由な着こなしが増えるにつれ、スーツやジャケットがメンズコレクションの主要アイテムではなくなっているのは事実。しかし、ストリートを背景にしたスポーツスタイルが増えすぎると、間違いなくその揺れ戻しも起こる。プラダも前シーズンはボリュームを軸にしたストリートスタイルを出していたが、春夏はそれを踏襲するのではなく次のステップへと踏み出した。

プラダ
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