楽天ファッション・ウィーク東京24年秋冬は、人間らしい感情や温かみを伝えるショーが目立っている。戦争が終わらない世界情勢に心を痛めながら制作したデザイナーは少なくない。コレクションには柔らかな線や色が反映されている。
(須田渉美)
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ハルノブムラタ(村田晴信)は、ドイツの写真家アウグスト・ザンダーの『舞踏会に向かう三人の農夫』に着想し、削ぎ落したカット、色使いで女性らしい柔らかさを感じさせるフォルムを構築した。会場にはピアノのメロディーが重く響く。鍵となるのは直線的なカット。テーラードジャケットの首元には、中心をずらしたシャツの大きなスクエアの襟が広がり、片側にはゴールドカラーの玉を連ねる。マスキュリンなアイテムを、ミニマルな手法でフェミニンな印象へと変容させる。テーラードジャケットをベースにしたコンビネゾンは、ウエストを引き締め、サイドのタックでふくよかな丸みを出す。モノトーンの配色で、コントラストの利いたフォルムを残像として焼き付ける。
アウターは構造を生かしながら、女性らしいエレガンスを新たに作り出す。フード付きコートは、フロントラインを延長して背中に伸びるフードが緩やかに放物線を描き、美しい余韻を残す。コーティング加工に、かすれた花柄をプリントしたトレンチコートは、ガンフラップを大きくした直線のカットをアクセントに、たっぷりとした量感で見せた。
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