ファッションブランドの直営店の役割が変わってきた。コロナ禍でECビジネスが広がった結果、消費者にとってはリアル店での体験がブランドへの信頼や共感という付加価値になっているからだ。売り上げの主力はECでも、広い空間のある路面店によって、コトの楽しさや気付きのある場を提供する動きが都心で目立つ。
(須田渉美)
記憶に残る場へ
BtoC(企業対消費者取引)のECが主力のIMCF(東京、吉武正道社長)は3月、自社ブランドの一つ「パーバーズ」で、東京・南青山に初の実店舗「パーバーズザエンボディメントストア」を開いた。1階と地階の2層で、売り場面積は約240平方メートル。自社製品の販売に限らず、オンラインでは得られないカルチャーに触れる空間を地下に作った。来店客を圧倒するのは、ストリート誌『ストリート』のアーカイブを閲覧用に並べた書棚だ。「僕自身、この雑誌を見て勉強した経験があるし、自分たちが好きなものを共有できる場にしていきたい」と吉武社長は話す。集めた古本に加え、直営店開設にあたり、ストリート編集室の青木正一さんの協力も得て、80年代後半から休刊するまでの大部分を揃えた。全て閲覧用だが、その隣の書棚には、90年代後半などに発行されたビジュアルブックの古本を並べて販売する。
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