いわきで頑張る、国産紳士靴下工場

2015/04/03 06:52 更新


レナウンインクスいわき事業所 段取り徹底し稼働率向上

 レナウンインクスの百貨店向け紳士靴下の95%は国内で生産している。国産の高品質な物作りを担う拠点が、自社工場のいわき事業所(福島)だ。糸から製品まで一貫生産する。多種類の編み機を駆使した多品種小ロットの生産体制や、職歴40年を超えるベテラン職人とその技を継承する若手の職人が工場を支える。ここ数年は新規編み機の導入や稼働率の向上に取り組み、成果を上げている。

 いわき事業所は百貨店向けのライセンスブランド「アクアスキュータム」「ランバン」やオリジナルの「イルレガロ」など高付加価値品を主力に、OEM(相手先ブランドによる生産)も含めて約年間100万足の靴下を生産する。96~240本の針数の機種があり、様々なゲージや柄の靴下を編むことができる。

 編み機の中には30年以上前に導入したものもあり、「これまではあまり投資をせず、古い機械を使ってコツコツとやってきた」(大桐敏治生産管理部長兼いわき事業所長)が、13~14年に中古や新品の編み機を新たに約40台導入。最新機種の伊ロナティの自動リンキング装置付き編み立て機も6台導入した。

新規導入した自動リンキング装置付き編み機(レナウンインクスいわき事業所)
新規導入した自動リンキング装置付き編み機(レナウンインクスいわき事業所)

リンキングで仕上げる靴下の約3割が自動になったが、同機は比較的シンプルなデザインの靴下の生産に適しているため、今でも大半は手動によるリンキングだ。つま先の開口部の編み目をひと目ずつ針に引っ掛けて縫い合わせるリンキングは、凹凸がなく、はき心地良く仕上がる。リンキングの機械は編み機の針数に合わせて約6種類ある。

 生産性を高めるための施策にも取り組んでいる。

 12年度は約60%だった工場の稼働率は、現在は約80%に上昇した。その要因は「段取りの徹底」(大桐事業所長)という。「いつ」「どの」機械が空くのか、空いている間にどう機械を動かすかということを、本社のマーチャンダイザーやデザイナーと工場で情報共有を密にし、稼働に空きを作らないようにした。稼働状況を把握しながら物作りができるのも自社工場ならではの強みといえる。14年度の生産量は前年度比24%増加した。また、アルバイトも含めた全員による品質向上や仕事をしやすい環境作りのための「提案制度」も設け、日々の改善につなげている。



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