三陽商会は5月11日、設立80周年を迎えた。1943年5月に創業者・吉原信之が設立、砥石（といし）商から始まり、戦後の物資が少ない中で様々な事業を模索する中、46年に防空暗幕を用いて紳士服の黒いレインコートを製作。レインコートを磯に、総合アパレルへと発展した。80周年を迎えた今、当時の思いに立ち返り、こだわりの機能や仕立てを盛り込んだ「80周年記念企画商品」を販売している。3月1日からは「80周年記念サイト」を公開し、24年2月までの1年間を通じて多彩な80周年事業を実施している。
一つひとつ、丁寧に作り続ける
80周年ロゴには紡がれていく「糸」をモチーフに、この先もずっと変わらず丁寧に服をつくり続けていきたいという思いを込めている。80周年のステートメントには、「私たちが大切にしているのは、服から始まるたくさんの物語。身にまとった瞬間にあざやかなよろこびを。たいせつな節目の日に、堂々と前を向く勇気を。どんなときも、服はいちばん近くにいるから。心にそっと力を添えられるような服を、一つひとつ丁寧につくり続けたい」とあり、80年間ずっと変わらない想いとともにこれからもあたらしい物語を作っていく意気込みを表している。
大江伸治社長は「80年の歴史を振り返り、原点に立ち戻って改めて当社のミッションや役割、在り方を見直ししていきます。そして、80年の間に蓄積された商品力や物作りのノウハウ、目に見えない文化を生かし、さらに成長・発展につなげていきたい」と思いを語った。また、「前期の23年2月期決算では7期ぶりの営業黒字化となりました。背景には、コロナ禍からの市場回復やインバウンドの増加傾向もありますが、商品力がアップしたことが最大の要因です。更なるブラッシュアップを全社的な課題として取り組んでいきます。80周年が中期経営計画の2年目に当たるのは偶然ではなく必然と考えて、ステップアップしていきます。ファッションに加えて機能性という新たな価値を付加し、商品企画をさらに追及していきます」としている。
記念サイトで情報を発信
記念サイト内では80周年ステートメント「きょうが、始まりの日。」を表現した動画や店舗のスタッフスナップ、記念商品などとともに、企業の歴史を紹介している。記念企画商品では全社横断プロジェクト「商品開発委員会」にて開発した商品やブランドのアーカイブ品をブラッシュアップした新商品を企画。今春夏では祖業アイテムのレインコートを筆頭に、各ブランドがレインアイテムを開発するなどメンズ・レディス合わせて21ブランド・約80型を販売している。ほかにも「エポカ」のニットドレスの復刻や「マッキントッシュロンドン」のギャバジンジャージーセットアップジャケット、「ポール・スチュアート」のドレスポロシャツなど記念アイテムを打ち出している。
今秋冬では得意とするコート・アウターアイテムを中心に、ブランド復刻シリーズや新企画商品をメンズ・レディス合わせて21ブランド・約60型を販売する予定。「サンヨーコート」からは『100年コート』アニバーサリーモデル、「エポカ」と「ブルーレーベル・クレストブリッジ」の軽さと温かさ、美しいシルエットを追求したダウンコート、ブランド横断で「パーテックス」を使用したコート、「エヴェックス バイ クリツィア」のアニマルモチーフインターシャニットや「トゥー ビー シック」のビジューストレッチデニムなどのアーカイブ品のブラッシュアップ企画などを揃える。
80周年をさらに盛り上げるイベント
記念事業では4月27日、ブランド総合カタログ『サンヨー・スタイル・マガジン』から80周年事業の一環として、特別号「ザ・ジョイ・オブ・ファッション」（A4サイズ、全100ページ）を発行した。レディス・メンズ合わせて23ブランドの商品と様々な特集を掲載。表紙と巻頭のファッションストーリーには俳優の髙梨臨さんと元プロサッカー選手で解説者の槙野智章さん夫婦が登場、芥川賞受賞作家の綿矢りささんによる特別寄稿エッセイなどを掲載している。
5月1日からは、「お客様への感謝とこれからも共に服を通じて新しい物語を紡ぎたい」と、“つながるキャンペーン”を開始。コート専業工場見学や「100年コート」のパーソナルオーダー体験などをプレゼントする。記念企画商品とともに80周年をさらに盛り上げていく。
三陽商会80周年記念サイトはこちらから
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