感慨深げに語るセーレン川田会長

2015/04/03 06:48 更新


 「夢は見るものではなく、実現させるもの。成功するためには夢を持たなければならない。そして夢は必ずかなう。30年前に夢に見ていたことがようやく実現しました。それが、このパーソナルオーダーショップです」と感慨深げに語るセーレンの川田達男代表取締役会長・最高経営責任者。

1日、福井市の本社1階に、世界初のパーソナルオーダーショップ「ビスコテックス・メーク・ユア・ブランド」をオープンさせた。川田会長が、87年に社長就任以来、長年追い求めてきた「夢」が実現した。

 今からちょうど30年前の85年、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画が公開されました。映画は30年後の世界を描きましたが、30年後には車が空を飛び回っていました。これは、実現しませんでしたが、セーレンは88年に持った夢、消費者が欲しいものを欲しいだけ、欲しい時に買える店を実現させました。夢を社員と共有し、一歩一歩進んできた努力とIT(情報技術)の発達で夢が実現できて感無量です。

 ファッションビジネス(FB)は欧州の有力ブランドに代表されるようなブランド依存で発展してきましたが、これからは消費者が自分でデザインして、自分だけの服を作る、自分でブランドを創り、自分の個性を自分で表現する多様化の時代に入ります。

30年前、「ビスコテックス」を事業化したころ、デザイナーの方からお叱りを受けました。人間の感性をIT化などできるはずがないと。確かに感性は最終的にはアナログであり、これを評価するのもアナログです。ただ、これを表現する技術としてITがある。デザイナーが自ら絵を描いていたものから、これからは消費者自身、個人個人がアナログの感性をITで具体的なモノに表現することもできるようになるわけです。

 地球の人口は爆発的に増えており、全てにおいて無駄は許されなくなっています。省資源、省エネ、省人化が求められる時代ですが、ファッションビジネスはロスが多い。良品であっても大量生産するビジネスでは、作った製品の何割もが売れない。旧態依然として、こんな無駄なことを続けている産業はほかにはありません。

 FBにITを持ち込むことで今まで不可能だったことが可能になります。その代表がビスコテックスであり、ビスコテックスが世界のFBを大きく変える、流通革命を引き起こすことになります。パーソナルオーダーショップは大量生産ビジネスとは違って、規模がいくら大きくなろうともリスクは増えません。FBの最大のリスクは在庫ですが、これがなくなる21世紀型の新しいビジネスモデルです。

 パーソナルオーダーショップは緒についたばかりで、不十分な点もあるでしょう。当面は福井の店に有力顧客を招いて、実感していただきながら改善点を探り、できるだけ早く東京にアンテナショップを作りたいと考えています。新しいビジネスモデルを求めている百貨店が強い興味を持っており、こういうところと組むことになるでしょう。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事