シェル(岐阜市)はデザイナーブランド向けが主力の縫製工場。杉浦知美代表が、13年前に夫の杉浦晃一さんと立ち上げた。縫製は紳士・婦人のジャケットやコート、ボトム、シャツ・ブラウスと幅広い。
強みは品質を重視した技術力。縫製は丁寧に中間プレスを挟みながら行う。物作りは中国からの外国人技能実習生10人が中心。実習生に、その道50年で技術力の高い日本人縫製工員2人とパターンが分かる裁断担当者1人が指導し、常に高品質な物作りを目指している。実習生以外の中国人縫製工員も1人働いている。
他にも検品や営業担当者など4人いて、杉浦代表は経理関係を、晃一さんは生産管理を担当している。
生産ロットは200枚程度から、工賃により数枚も対応する。300枚などの大ロットは、協力工場も活用している。サンプル生産から始まったこともあり、今でも受注品の約3割がサンプル。サンプルは、工賃や仕様など条件が合えば翌日仕上げる「特急」対応も受ける。ミシンは特殊機を含め30~40台を保有する。
デザイナーブランドとは、直接取引と商社経由がある。そのため工場の仕事が厳しいと言われた昨年でも「多少の波はあったが、年間を通して仕事があった」と安定生産ができた。
今後は特定技能制度を活用して、母国に帰った元技能実習生を特定技能外国人として受け入れていく計画。日本人の採用・育成も考えており、中途で技術者を採用していき、体制が整ったら新卒採用も視野に入れる。そのため年内をめどにホームページを開設し発信力を強化したい考えだ。