今年3月に15~24歳の若者455人を対象に実施したウェブ調査では、SDGs(持続可能な開発目標)で挙げられている17の目標のうち、日本がより力を入れて取り組むべき社会課題と考えているのは「ジェンダー平等を実現しよう」でした。20年に実施した調査でも同様の結果が見られており、ジェンダー平等は若者にとってより身近で、より課題意識が強いテーマです。
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若者たちと話していると、ジェンダー平等を実現するために、積極的に学ぶ姿勢がよく見られます。調査結果では、「ジェンダーに関する授業を受けたことがある」と回答した人は約6割で、インタビューでも「大学でジェンダーに関する授業を履修している」「生徒同士でジェンダーに関してディスカッションする授業が人気」などの意見が聞かれました。
知識インストール
男女平等だけでなく、LGBTQ+(性的少数者)についてなど、自分の身に降りかかるかもしれない不平等の実態だけでなく、友人や周りの人の多様性を無意識に阻むことがないよう、知識をインストールしようとしています。
また、学校生活では制服に男女ともにスカート・スラックスを自由に選択できる学校も増えているようで、このようなジェンダーレスを実現するための校則を生徒が学校に提案して実現するケースもあるようです。
トレンドが伝播
また近年の若者のファッションにおいては、ジェンダーにとらわれないトレンドが次々に生まれています。昨年末に発表したトレンド大賞では、男女ともに「カーゴパンツ」「ヘッドホンコーデ」がノミネートされました。
また、『メンズトレンド大賞』には、メンズスカート、ウルフカット、メンズネイルがノミネートに上がっており、これまで女性が中心に楽しんでいたファッショントレンドが性別を超えて伝播(でんぱ)している実態があります。
今回調査でも「すでに性別にとらわれずにオシャレを楽しんでいる」という回答が約6割となり、インタビューでも「着たものがたまたまメンズだということもよくある」(女子大学生)、「ウエストの位置がウィメンズの方が合うので女性用のアイテムを着ている」(男子大学生)など、性別にとらわれずにファッションを楽しむ姿が見られています。
また、個人的にはインタビューで「古着屋さんはメンズ・ウィメンズ分けずに商品が陳列されていて見やすい」と話していた姿が印象的でした。逆に「フロアが男女で分かれている」「コスメを購入したいのに男性は入りづらい店が多い」という声も聞かれ、売り場の設計が彼らのファッションの楽しみ方を窮屈にしてしまっているかもしれないと気付かされました。
ブランドとして世界観を演出することや、買い物のしやすさを追求することは重要ですが、誰にでも開かれた売り場作りりができると、新たな顧客と接点を構築するきっかけになるかもしれません。