感性でつながるクラウドソーシング始動

2017/01/20 06:30 更新


 ECサイトやSNS(交流サイト)の影響力が増す中で、ブランドイメージを表現するビジュアルの作り込みが売り上げを大きく左右するようになっている。しかし、小さなメーカーやブランドにとって、雰囲気に合うカメラマンやモデル、ヘアメイクを見つけるのは難しい。

 「ソフ・プロジェクト」は、そうした問題を解決するために生まれたファッション業界特化型のクラウドソーシングサービスだ。スプリング・オブ・ファッション(東京、保坂忠伸社長)が手掛けており、今後、マーケットプレイス(ECサイト)の立ち上げなども視野に、サービス拡大を目指す。

◆7職種が登録

 ソフ・プロジェクトが登録を募っているクリエイターは、デザイナー、カメラマン、モデル、ヘアメイクアーティスト、スタイリスト、パタンナー、ソーイングスタッフの計7職種。クライアントはウェブ上で彼らに仕事を発注する。登録は無料で、契約成立時にクライアントとクリエイターの双方から同社が手数料を受け取る仕組みだ。

 同社は、クリエイター向けSNS「ソフ・コレクション」も運営しており、クライアントはそこに投稿されているビジュアルをもとにクリエイターを選び、発注することができる。

 デザイナーやブランド運営者が、イメージビジュアル撮影のためにカメラマンやヘアメイクアーティストを探す場合と、美容師がヘアショー用のモデルを探したり、カメラマンがポートフォリオ作成のためのスタッフを探すといったケースを想定している。

 一般消費者がサイトを見て気に入ったデザイナーと連絡を取り、サイズに合わせて服を作ってもらうようなオーダーサービスも可能だ。

 通常、クラウドソーシングはシステムエンジニアなどの業種で盛ん。ただ、「ファッションは感性が左右する部分が大きいため、単純に有名なクリエイターに依頼すればうまくいくというわけではない」(保坂社長)ため、多様性を備えたクラウドソーシングはファッション分野でもニーズがあると見込む。従来のようにモデル事務所、カメラマン事務所などを挟まなくなる分、クリエイターへの依頼料は抑えられるという。

 

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◆自社の生産背景も

 保坂社長は4年制大学卒業後、システム系に強いコンサルティング企業に3年半勤務。その後、文化服装学院やここのがっこうに通うとともに、トウキョウベースで販売員、ファッション系人材企業の社員なども経験した。

 

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保坂社長

 

 その中で個性あるクリエイターにたくさん出会ってきたが、彼らが世に出ていきづらい現状に歯がゆさを感じたのが事業立ち上げのきっかけだ。「ファッション業界は同質化が大きな問題だが、本来ファッションは個性を主張し、時代を作っていく役割だったはず。クリエイターをバックアップすることで、業界を盛り上げたい」と話す。

 まずはクラウドソーシング事業を軌道に乗せることを目指すが、「クリエイターを食い物にはしたくない。手数料は下げていくのが理想」という。その分、登録クリエイターが商品を出品するマーケットプレイスなどのサービスを整え、売り上げを稼ぐ。将来的には自社で生産背景も持ち、「スプリング・オブ・ファッションに相談すれば、ファッションのデザインから物作り、ブランドイメージの作り込みまですべてが完結するような組織にしていきたい」という。



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