中小専門店の24年経営見通し 約6割が増収するも「悪化」が増える

2024/01/11 06:30 更新


 繊研新聞社が中小ファッション専門店を対象に行った「23年販売結果と24年経営見通しアンケート」によると、24年の売上高が「伸びる」と回答した企業は58%で、前年より構成比が下がった。一方、前年はゼロだった「悪化」が13%となった。回答企業の入れ替わりなどで単純な比較はできないが、23年の事業環境の復調や施策の奏功への手応えのほか、商品単価が高まった結果との理由が挙がる。

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 物価高で消費マインドの冷え込みなどを懸念する声もあり、悪化や横ばいの見通しが増えている。24年春夏物でも、売上高の増加傾向から前年より仕入れを増やす企業が約50%を占めたが、市場感や消費減退に仕入れを減らす企業も目立つ。

 24年の販売見通しの理由は、「伸びる」では「3年間のコロナ禍を経て23年を乗り越え、お客様の流れや商品の売れ行き予想が立てやすくなった」(セルティ)や「リピート客が多く、期待を込めて」(Pt.アレフレッド)など、売り上げや人流の増加傾向などへの期待感が見られる。一方、「アフターコロナによる消費分散が考えられる」(ラージ)や「円安による販売価格の大幅上昇がインポート商品の購買意欲減退につながっている」(ラグラグマーケット)など、商品価格の上昇傾向は購買に大きく影響するとの見方で、「横ばい」「悪化」が昨年より増えた。

 24年春夏物の仕入れ計画では、「増やす」が48%で前年より減少した。「減らす」は24%、「前年並み」20%で、懸念材料などから不透明感や品揃えを見直す動きが背景にあるようだ。仕入れについては、「扱うブランド数を見直す」「新規ブランドの発掘・導入」が上位で、コロナ禍を経た新施策や環境変化への対応がうかがえる。大きなトレンド不足や消費者の多様性などを受け、メーカーとの関係性を高めて独自性や魅力ある商品を提案することが必要との指摘が多い。

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