ひねりの利いたセレクトとスタッフの人柄で県内外にファンを作る（ノックアウト）
商業の集まる都心でもなく、人里離れた郊外でもない――コロナ禍が落ち着き、地方の観光地に国内外の客足が戻り、その立地が注目されている。観光客は荷物になる買い物を避ける傾向にあり、常連客も作りにくい。だが、観光立地で運営する専門店には服屋ならではの切り口で、町の伝統や魅力を編集し、観光客を取り込んでいるところがある。
三重県伊勢市 ノックアウト／衣・ジェネラルストア
服屋ならではの土産物を提案
ウオーン・アウト・ガーメント（宮崎康秋代表）が運営するメンズ専門店のノックアウト（三重県伊勢市）は95年、伊勢市駅前にアメリカ古着を扱う専門店としてオープンした。現在は古着2割に加え、「ニードルス」「ヨーコサカモト」などベーシックにひねりを利かせた新品を揃える。
同店が位置するのは、伊勢神宮の外宮参道だ。しかし開業当時は観光地化されておらず、同店も地元客をターゲットとした専門店だった。13年の伊勢神宮の式年遷宮を機に一変。通りは土産物屋や飲食店でにぎわい始め、平日休日問わず、県外からの観光客の往来が増えた。
