メンズセレクトショップの間で、別注またはオリジナル商品の重要性が改めて高まっている。SNSやECを活用したマーケティングで、全国にファンを生み出すチャンスは広がったが、同時に競合先も増えた。こうした中、自店でしか買えない、自店らしいアイデアや着眼点が光る一品を有力なフックにし、顧客を増やそうとする動きが目立つ。
「カセドラル」 服をもっと楽しめるきっかけに
大阪・梅田のメンズセレクトショップ「カセドラル」(会社はオーパスジャパン)は、21年3月から「オーパスジャパン」でオリジナルアイテムを打ち出し、顧客の注目を集めている。「服作りでは専門とするブランドにはかなわないが、服を見てきた数は多い。良質で優れた素材を使うなど、服をもっと楽しめるきっかけを作り出すのが、オリジナルの一番の目的」と谷勇紀代表。オリジナルをフックに来店を促し、目利きの光るセレクト商品もしっかり味わってもらうことを目指している。
オリジナルはデザイナーの手掛けるブランドと違い、柔軟な発想で特別感があり、日常で着られるちょうどいいアイテムを出している。12月はオーパスジャパンの28弾目のオリジナル商品として、初のスラックスを打ち出した。
昭和初期に使われていた綿帆布「備前壱号」を復刻した生地を使用。かつて学生服ズボンに使われていたように、シャトル織機で糸を高密度に打ち込むことで、強度やハリ、コシ、滑らかな風合い、光沢感がある。裏地には様々な機能を併せ持つ中空構造で8本の突起があるポリエステル「オクタ」を使った生地を採用し、様々な場面で着用できる仕上がりにするなど、工夫も盛り込んだ。税込み4万2900円。エルメネジルド・ゼニアのウール生地のアイランドフリースを使い、同様に裏地を採用したものもある。5万3900円。