インカレの「アオヤマファッションアソシエーション」(AFA)は、コレクション制作やプロモーションをプロと共に行い、受注展示会で発表している。AFAが目指すのはアパレルブランドと遜色ない品質、完成度の日常着。「ブランドに近い活動を経験できるのは他団体にない強み」と代表の小島大夢さんは強調する。
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自由な発想×専門性
コンセプトは「プロと共に最高品質のファッションを作る」。学生がテーマやデザインを考え、集めた年会費で生産を商社やOEM(相手先ブランドによる生産)企業に委託する。ルック撮影やムービー制作などもプロと共に行う。
小島さんは「プロが持つ専門知識や技術は、私たちにはないもの。私たちが服作りを行うとエゴが出てしまう。できるだけエゴを排除し、きちんとプロに依頼して品質を維持している」と話す。
コレクションのテーマ設定は専門的な知識や技術がない分、自由な発想が強みだ。様々なカルチャーを有する学生から生まれた発想を、話し合いを重ねパタンナーなどが現実的な日常着に落とし込んでいる。
サポートする大人の存在も大きい。デザイナーの一法師拓門(いっぽうしたくと)氏が立ち上げ当初から特別顧問としてアドバイスし、コネクションを提供している。
23年度は「怒りやそれに伴う感情」に目を向け、最も奥に秘める抑圧する感情をテーマにしたコレクション「インナーモスト」を発表した。トップとボトムの2型を10人ずつのチームに分かれ、計14型制作した。
チャックやベルトに着目して抑圧を強調したデザインや、メンズのセットアップにフリルを付け性別の固定観念からの解放を表した日常着を揃えた。3月に行った受注展示会は約300人が来場したという。
横の連携も広がる
豊島と協業し、Tシャツのデザインをしたこともある。コレクション制作や企業との取り組みなど「一人ではできないことを経験できる価値がAFAにはある」と話す。OB・OGの就職先は様々だが、アパレルブランドに就職した人もいる。
メンバーは大学生や専門学校生の約120人が所属する。今春は都内のファッション系サークル5団体と、合同説明会を行った。学生のやりたいことと、団体の活動内容にギャップがないように、事前に丁寧な説明をしている。
23年は原宿のアクセサリーショップから声がかかり、AFAのロゴ入りリングなどコレクション用のアクセサリーを制作した。予算などの面から、学生団体としてできる範囲は限られるものの、今後は「アイウェアや靴などトータルのコーディネートをコレクションに取り入れたい」と意気込む。
(小坂麻里子)