この靴を履いたら、あなたもジェームス・ボンド!?(杉本佳子)

2014/02/05 00:00 更新


 クラシックなメンズドレスシューズでありながら、スニーカーにも劣らない履き心地の良さを加えた高機能メンズシューズが、今秋市場に出てきそうだ。ブランド名はジェフ・ロバーツ。開発したCEO(最高経営責任者)でクリエイティブディレクターのジェフ・ロバーツさんは、南カリフォルニアの出身だ。元々グラフィックデザイナーで、2000年以降は自ら設立したマッシフ・マウンテン・ギアカンパニーで、軍隊やCIA、FBI、SWAT、NASAなどのための戦闘服を作ってきた。

そのジェフさん、09年に年商1億ドルまで成長した会社の過半数の所有権を売却した。その後、仕事でニューヨークの街を歩いていたとき、普通のドレスシューズの歩きにくさを実感したという。そこで、アパレルに適用していたような高機能性をメンズドレスシューズに応用することを思いつき、16ヶ月かけてイタリアで商品開発した。




出来上がった靴は、すべてイタリア製。つま先が少しラウンドになっているローファーやオックスフォードに加え、ショートブーツやスニーカータイプもある。ヒールにパッドを入れているが、普通のメンズドレスシューズの3倍のクッションが入っているという。タンにパッドを入れた型もある。非常に軽いことも特徴で、普通のドレスシューズより最高300グラム軽いとか。

加えてジェフさんが最も重要視したのは、しなやかに折れ曲がるアウトソールだ。アウトソールは滑り止めのギザギザがついたラバー製で、半分に折り曲げられる柔軟性がある。紐靴の一部は「スピードレーシング」と名づけ、1回の動きで紐を緩めたり伸ばしたりできるデザインを取り入れた(写真下)。



  革はイタリア製のカーフレザーや艶のあるスパッゾラトレザーを使う。色は黒、バーガンディ、ミッドナイトブルーがメーン。小売価格は525ドルから795ドルで、現在7月の発売を目指して小売店のバイヤーに見せている。

すべての靴は、リアルピープルによってさまざまな場面で試着された。ジェフさんは、「フィードバックは、我々のデザインとエンジニアリングのアイデアを完璧に証明するものだった。アメリカ海軍特殊部隊からパルクール(さまざまな地形を走る・跳ぶ・登るなどの身体動作で鍛える運動方法)アスリート、エンターテイメント業界のエグゼクティブ、弁護士まで、みんなが今まで履いた中で最も高機能のラグジュアリーシューズだと言っていた」と語る。




Parkour Field Trial – FW14 Collection from Jeff Roberts on Vimeo.


テスト時は、1日最低16キロメートルをこの靴を履いて費やしたそうだ。プロモーションビデオや写真に写っているのは、俳優やスタントマンではなく、テストに参加した人たち。

実際にドレスシューズを履いて綱渡りをする人はいないだろうが、毎日歩き回ってナンボの営業マンにとっては朗報といえる靴だろう。災害や事件に遭遇して走って逃げないといけないときも重宝しそうだし、人助けや事件解決のために走り回ろうものなら、もう気分はジェームス・ボンドかも!?


89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



この記事に関連する記事