たった1つのブレスレットから生まれたサクセスストーリー(杉本佳子)

2014/04/30 00:00 更新


マンハッタンに昨年12月にオープンした「ミアンサイ」。ブレスレットを中心としたメンズアクセサリーの店、と思いきや、女性客も結構いる。とてもニッチなコンセプトだが、お客さんの入りはとても良い。


 


ウナギの寝床のように細長い店内


内装はスカンジナビアのビーチハウスのイメージで、オブジェのような観葉植物を白く塗ったレンガの壁に飾るなど、ナチュラルな気分を入れながらクリーンにまとめている。

入り口にはさまざまなお茶を飲めるカウンターがある。コーヒーを飲めるファッションの店が増えているが、お茶が飲める店はちょっと目新しい。お茶はすべて、オレゴン州ポートランドの「ティー・チャイ・テ」から仕入れている。



お茶を飲めるカウンター。茶葉の販売もしている


場所はクロスビーストリートで、「サタデーズサーフNYC」やネット販売でスタートしたメンズウェアの「ボノボス」も並ぶ一角だ。似たような広さと奥行きをもつサタデーズサーフNYCはコーヒーを出すカウンターがあり、奥には裏庭がある。ミアンサイの裏庭は別の店の所有になっていて、店内から眺められるだけだが、リラックスしていながらお洒落な「ノリ」や「空気感」は共通するものがある。



奥には裏庭が。天井から下がる照明は、ビンテージのエックス線の機械を改造したもの


それにしても、ブレスレットのバリエーションは豊富に揃う。デザイナーで創業者のマイケル・サイガーは、マイアミ在住。マイアミの大学に通っていたとき、「アメリカのクラフツマンシップ」があって「タイムレス」で「ラグジュアリー」で「買いやすい価格」のメンズアクセサリーがないと感じ、銃弾ケースをつけたブレスレットを自分でつくってつけていたところ、みんなから「いいね。どこで買ったの?」などと聞かれたそうだ。



レザーの紐や組み紐を巻くタイプのブレスレットは、圧倒的なカラーバリエーションを揃えている


マイケルは起業家一家で育ったこともあり、大学卒業後、08年にブランドをスタートした。今や、アメリカでは40州、海外では36カ国に販路をもち、コレット、サクスフィフスアベニュー、バーニーズ、ニーマンマーカスにも卸しているのだから、手製のブレスレット1つから始まった、まさにアメリカらしいサクセスストーリーといえるだろう。マイケルは今もマイアミに住み、オフィスに50人のスタッフを抱え、そのうち30人がマイケルの指示の元、アクセサリーを手作りしている。

メンズのブレスレットで始まったブランドだが、現在はほとんどユニセックスで、顧客の男女比は半々だ。最も人気のある商品は、スクリューを回して留めつけるメタルのブレスレット。女性には、ローズゴールド(200ドル)の人気が特に高い。

すべてハンドメイドだからなんとなくぬくもり感があるが、それでいてシンプルでクリーンで洗練されたフォルムで、他にないデザインであることが人気の理由のようだ。イカリ、フィッシュフック、ロープなど、ノーティカルな雰囲気のデザインが多いが、女性がつけても抵抗ないセンスにまとめられている。



男女共に人気の高いブレスレット。スクリューを回して着脱する


イカリやフィッシュフックなど、メタルのパーツはノーティカルなデザインが多い


アクセサリーをつける男性は増えているようだが、中でもブレスレットが最も有望のようだ。腕時計をつける感覚で取り入れやすいのが、その理由とみられている。実際、ローレックスやカルチェの腕時計と一緒にミアンサイのブレスレットをつける人が多いという。逆に言えば、ハンドメイドでありながら、そうしたハイエンドの時計と一緒につけても違和感ないところが、人気の理由ともいえるだろう。

60%を占めるブレスレット以外は、時計、サイフ、ナイフ、サングラス、ベルト(リバーシブルで使えるデザイン!)、ソープ、キャンドル、カメラストラップ、キーチェーンなどがある。その場で好みのレザーの紐を使ったブレスレットをつくったり、モノグラムを入れたりしてくれるカスタムオーダーのカウンターもある。



ミアンサイならではのソープ


カスタムオーダーも受け付けている



89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



この記事に関連する記事