マンハッタンはユニオンスクエアの少し北に、「グローバス和室」という純和室のイベント会場がある。
ロン、リック、スティーブという、日本とアメリカの文化交流に長期にわたって関わってきたグローバス兄弟が雑居ビルの中につくった空間だ。
初めて訪れた人は、「マンハッタンの中心街にこんなところがあったのか」とビックリするに違いない。
そのグローバス和室で、「芸者の着物展~月毎の着物 紋様の美~」展が開催された。日米の報道陣を招いた記者会見には、日本から訪れた2人の芸者さんも参加した。
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菊乃さん(左)と、乃り江さん
着物はそれぞれの月ごとに季節の花やモチーフを美しい彩であしらったもので、各月1点ずつ展示された。芸者さんが着る着物をこれだけの点数、直接見られる機会は日本でもないという。
着物はそれぞれ、車が買えるくらいの値段と聞き、緊張しながら拝見
展示された着物はいずれも、奈良で唯一の芸者である菊乃さんを支援していたある会社の社長さんが、5億円ほどの私財を投じてつくったものの一部。そうしてつくられた着物を毎年同様にもってきても、全部見せるのに20年はかかるという。
今は経営者が変わり、菊乃さんが月賦で買い取りしている最中だ。着物1枚の値段は、それぞれ車が買えるくらいの値段とか。職人がいなくなって、もうつくれない着物や帯もあるという。
糸巻きの柄は、明るくきれいな色合い
季節感のある花も、美しい色で描かれる
赤い紅葉があでやかな帯
そうした貴重な着物を持参してニューヨークで着物展が開催された背景には、後継者不足がある。
昭和の初め、600あった花街は今では20となり、その中で花街として成立しているのは5つくらいだそう。
舞妓から芸妓になった最初の1ヶ月間だけ着用される着物。目にすること自体が稀な着物だ
菊乃さん、そして菊乃さんと共にニューヨークを訪れた浅草の芸者さんの乃り江さんらは、「花街の文化は、おもてなしの文化。ニューヨークでも、花街のおもてなし文化を伝えていきたい。本当の日本のおもてなしを感じてもらって、日本の魅力を伝えたい」と話す。
花街を訪れる外国人観光客が増えて芸者の需要が増えたり、ニューヨークで何かやって「かっこいい」と若い人に思ってもらえたりすることで、後継者となってくれる人が少しでも増えてくれたら、という願いがあるようだ。
菊乃さんは、伝統という英語のウエブサイトでも、お座敷カルチャー継承への熱意を紹介している。
「夢があり、その夢を叶える最良の手段は、諦めるのをやめることだと思っているんです。だから現在、うちの夢の過程でしかないんやから、どんなことでもできるんです」と菊乃さんは語っている。
この帯は、もうつくれる職人さんがいない技術が使われているという
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッシ
ョンビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで
20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜
更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダム
に紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)