3月14日に二つのブランドがそれぞれ単独で25年秋冬のショーを行った。
「サポートサーフェス」(研壁宣男)はデビューから50シーズン目を迎えて「美しさに対して正面から向き合った」コレクション。「今だからできることがある。磨きを掛けるように取り組んだ」と研壁。
特徴の一つは、女性の体のラインを素直に生かすシルエット。首元にギャザーを寄せてエアリーに造形していく手法で、肩の線を柔らかに見せる。発展形となるベルベットのジャンプスーツは、シンプルながらも放射状に入ったドレープラインがエレガント。レザーのベルトでウエストを絞ると、フォーマルドレスの雰囲気に。コクーンシルエットのドレスは背中に入れた二つのタックがエアリーなたたずまいを作る。軽やかな輪郭がスタイルを構築する一方、表情豊かなテキスタイルで華やかに見せていく。コンパクトなショルダーラインに毛足の長いフェイクファーを切り替えたブルゾンなど、差異を生かしてフェミニンな表情を引き出す。



(須田渉美)
「ユェチ・チ」(ユェチ・チ)は東京・新宿の淀橋教会で見せた。コレクション全体のモチーフとなったのは猫。襟元にビーズやファーを刺繍して、胸には猫の顔をプリントしたカーディガン、マクラメ編みとアップサイクルレザーを使った猫耳のヘッドピースなど、ユェチ・チらしい手仕事とガーリーな世界をミックスしたスタイルを揃えた。ハートのパーツを重ねて表現したようなレパード柄のランジェリーに、マクラメ編みのコート。チュールのトップにスウェットのフードのドッキングや、ナイロンジャケットに猫のレースをドッキングしたアスレジャー風のアイテムもある。表に見せている愛らしい姿と内に秘めた獣性。そんな二面性を感じさせた。

(松本寧音)