タジマ工業は今年4月に発表したオンライン刺繍システム「DG.NET」(ディージードットネット)を日本とアジアで拡販する。刺繍の顧客満足度を高め、短納期を実現するシステムだ。さらに、工場に対してのシステムの導入も進めていく。
一般的に刺繍は店頭で受注して、アパレル、グッズなどにオリジナルデザインとして入れたり、名入れサービスを行うことが多い。商品を差別化する手段になるものの、受注時の手間や作業者の経験差による不良品発生リスクが刺繍サービス導入の障壁となっていた。
ディージードットネットを導入すると、手作業で行っていた刺繍データの作成を自動化できる。エンドユーザーが決定した刺繍の3DプレビューをECサイト上で確認できるので、完成イメージのギャップを無くし、顧客満足度向上が見込める。また、オリジナル刺繍はSNSにも投稿されやすく宣伝効果も期待できる。
データはクラウドで管理している。刺繍作業担当者が刺繍機に取り付けたバーコードリーダーで作業指示書のバーコードをスキャンすれば、必要な刺繍データや糸色指定の情報が瞬時に刺繍機に送られてくる。あとは刺繍機のスタートボタンを押すと自動で刺繍する流れだ。タジマ工業の刺繍機であれば簡単にシステムと連動できる。
「通常だと2週間から、繁忙期では1カ月かかる刺繍サービスが場合によっては即日対応が可能」(タジマ工業)という短納期も売りだ。
導入提案先はECサイトを運営している大手アパレル企業やスポーツ企業のほか、小規模のEC小売りに対しても提案していく。
すでに年内に導入が決まっている企業もある。中でもECプラットフォーム「ショッピファイ」の使ったECサイトであれば、プログラムなどの専門知識がなくても同システムを導入でき、開発などの初期費用が抑えられるという。
導入費用は参考価格で初年度73万5000円から、2年目以降42万9000円から。
また、同システムを国内、アジアの刺繍工場にも提案していく。同社が販売しているAI(人工知能)刺繍機と連動することで、刺繍機の稼働状況、生産状況をを可視化し、管理者とオペレーターが生産効率を評価できる。刺繍機のオペレーター1人で12台の単頭機を動かせるようになり、人員面でも工場の効率化を図れる。