繊研新聞では昨年(2015年)9月中旬から「服を売ろう」キャンペーンを開始し、2016年1月1日の新年特別号でも記事7㌻の企画を設けました。サブテーマは「多様性が未来を作る」です。
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この新年特別号の1面では、いくつかの街角でスナップ撮影と取材をし、ファッションビジネス業界の方にも登場していただきました。年齢や性別、ライフスタイルなどはそれぞれ異なりますが、皆さん、「服が好き」「ファッションを大事にしている」方々です。文字数の制限から、掲載できなかった言葉もありましたが、ファッションが皆さんの生活を彩っていることはお伝えできたのではないかと考えています。
日本全国で大型の商業施設が増え続け、オーバーストアと言われるなか、店頭には似たような商品があふれていると消費者も感じています。収入も右肩上がりとはいかず、どうしても買わなくてはならない理由を探したり、商品の品質や完成度と価格のバランスを注意深く吟味したりと、財布のひもが簡単にはゆるまない時代に入りました。
けれども、服を選び、気持ちよく日々を過ごすことは、多くの前向きな人々にとって、ごく自然な行為としてなじんでいます。好みはまさに十人十色であり、ひとくくりにはできませんが、服やファッションが生活に欠かせない人々は多いのです。
昨年12月から国は従業員のメンタルヘルス対策を企業に課しました。一人ひとりのセルフチェックのほか、他者への気配りも必要がありそうですが、注意したいポイントの一つに「身だしなみの乱れ」があります。
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心が疲れ始めると、昨日と同じ服で構わなくなったり、身だしなみを整えることに意欲がなくなったりするからです。「昨日と全く同じ服になったら黄信号」と表現する専門家もいます。逆に言えば、現代社会では少なくても、「今日は昨日と違う服を着る」ことが無意識の中に組み込まれていると見てよいでしょう。つまり、服は自分自身を保ち、社会とつながるための大事な要素です。
服には人を支える力があり、さらに彩り豊かな生活を前進させる力が備わっています。人々の幸福に貢献する服の力を見直す時ではないでしょうか。服は〝福〟を生み出せるのです。
こうした視点から、新年特別号では服を売る際の様々な工夫や挑戦、多様な考えを掲載しました。そこには、「服が売れていないとは考えていない」という企業があり、ひたすら身の丈に合った物作りと販売で地道に進むメーカーがあり、ファッションに少し縁遠かった方々に装いの楽しみを提供するサービスがあります。そのほか、多くの新しい発見のある紙面を目指しました。
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繊研新聞は、ファッション業界が活性化することを願い、今年も「服を売ろう」キャンペーンを続けます。