大阪第3の商業地、阿倍野・天王寺にあべのハルカスが部分開業しました。今回オープンしたのは、あべのハルカス近鉄本店のタワー館。見上げると首が痛くなるような高さで、来年春のグランドオープン時には、横浜ランドマークタワーを抜いて、日本一の高さ(300メートル)になります。今から、展望台に上るのが楽しみという人も多いでしょう。
都心の大型開発が相次ぐ大阪の中でも、阿倍野・天王寺の近年の変わりようは相当なものです。昔は地元の人向け商店や居酒屋が並び、ビルより路地のイメージが強くありました。
11年4月にオープンしたあべのキューズモールは、幅広い客層を集めて成功しています。核店舗、テナントともそれほど新しいものを集積したわけではないのに、しっかり売り上げをつくっています。デイリーに使うのにちょうどいい感じなのでしょう。あべのキューズモールと隣り合わせのビル、ヴィアあべのウォークには、日本を代表するとされる居酒屋「明治屋」が入っています。再開発によってビルに入居しました。
あべのハルカスとあべのキューズモールの間には、路面電車「阪堺線」の始発駅、天王寺駅前があります。大阪唯一の路面電車で、開通して100年の歴史を持ちます。松虫、北畠、帝塚山、住吉と大阪市南部を代表する土地を通って、堺の浜寺まで行けます。周辺は真新しいビル群になっても、この電車は全く変わらず、時代の変遷の中に溶け込んでいるようです。
でも、これが阿倍野・天王寺の良さなんだろうと思います。都心でありながら、人と人の距離が近い。キタ(梅田)、ミナミ(難波、道頓堀、心斎橋)とは異なる発展が期待されます。
古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介