30回目のコーコレ 底流にある思い(古川富雄)

2017/03/07 12:11 更新


02年に始まったガールズファッションイベントの草分け、神戸コレクション(コーコレ)が3月4日、30回目の記念公演を開いた。エグゼクティブプロデューサーの高田恵太郎さんも「まさか30回も続くとは思わなかった」と話す。

 


第1回コーコレのポスター

コーコレ会場外階段


それくらい、手探りで始まった事業だが、日本初の消費者向けリアルクローズショーの先駆けとしていくつもの功績がある。

1つは95年の阪神・淡路大震災で大きな痛手を被った神戸の街に、明るさを与えたこと。もう1つは、やはり被災して落ち込んだ神戸のファッション産業を勇気付けたこと。

神戸コレクションのルーツは「JJファッションナイト」だ。90年代末から、神戸エレガンスと呼ばれたコンサバティブでエレガントなファッションがブームとなった。

01年末から02年はじめにかけて京都、大阪、神戸でJJファッションナイトが開かれた。特に京都でのイベントは大きな反響があり、これに危機感を持った関係者が、なんとしても地元神戸を元気付ける大型イベントをと精力的に動いた。それが02年8月の第1回神戸コレクションにつながった。

ファッションビジネスへの貢献もある。ブランドとショップ、テレビなどメディア、ウェブなどをつなぐメディアミックス、中国でのイベント開催による日本ブランドの進出支援なども先陣を切った。

 


コーコレ会場


規模という点では、コーコレより大きなイベントは他にある。が、コーコレの優れた点はステージと観客の何ともいえない一体感にあると思う。

モデルの石田ニコルは「コーコレに来るとなんか落ち着く」、最多登場の加藤夏希は「帰ってきた感じ」と表現する。イベントは今もファッションショーが中心で、観客も楽しもうという姿勢が見える。

ショーには神戸の地場産業のステージがある(写真下)。若い女性にから見て、地場産業というと古いとか、なじみがないという印象があるだろう。以前はやや違和感もあったが、最近はアパレル、靴、真珠など地場産業の存在をきちんと説明も入れるようになり、ショーになじんできた。

 


 

震災から既に20年以上になり、震災を経験していない来場者も増えてきた。しかし、この一体感は神戸に明かりをという、スタート時からの思いが底に流れているからなのではないか。



古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介



この記事に関連する記事