大画面で洋服のカットや揺れるシルエットを伝える
自分たちの今をファッションが好きな人たちと共有したい――。「トーガ」は、昨年9月にロンドン・ファッション・ウィーク（FW）で発表した23年春夏のコレクションを体感できる展示イベントを、渋谷パルコのパルコミュージアムトウキョウで3月12日まで開催している。コロナ下を通じ、海外のチームとデジタルプレゼンテーションを作り上げてきた延長で、消費者にも新しい魅力を伝える形式へ発展させた。
「今春夏の企画の時から、ロンドンFWに向けた映像だけでなく、店頭で発売する時期に完結する長期的なプレゼンを考えていた」。デザイナーの古田泰子さんは、そう話す。「一般のお客さんにも、トーガの洋服に向き合って感じてもらう場を作りたいと思って」のことだ。
新たな試みは、トーガのアートディレクション担当のヨップ・ヴァン・ベネコムさんによるもの。彼が注目するパリ、アムステルダム、ロサンゼルス、ソウルを拠点にする4人の女性写真家が撮影した23年春夏のイメージビジュアルの発表だ。柔らかな感性を感じさせ、それぞれ異なる解釈で表現した作品が鑑賞者を引き付ける。
その奥の部屋は、東京のチームで制作したランウェー形式の映像を再編集し、現代音楽家による音の演出とともに大画面で見てもらうムービースペース。写真と映像で異なる魅力を楽しんでもらい、最後の部屋では製品のコレクションを販売する。会期中、トーガのスタッフが毎日2人ずつ交代で来場者を出迎える体制も組んだ。
