土岐プレミアム・アウトレット(岐阜県土岐市、三菱地所・サイモン運営)の接客研修が「自分を見つめ直す時間」として従業員から評判だ。研修を推進するのは、同施設マネジメントオフィス営業課に勤める五十川麻希子さん。「第29回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」で大賞受賞者を出し、プレミアム・アウトレットの中でもロールプレイング(ロープレ)大会での高い入賞率を誇るなど、同施設の接客力向上に貢献している。
【関連記事】来年20周年の土岐プレミアム・アウトレット 環境と従業員を強みに販売力向上
気軽に自主練
――どのように接客力を高めている。
大会前に合同の接客研修も実施しますが「もっと練習の機会がほしい」と店舗から要望があり、実践練習する「自主練」の場を設けています。時間と場所を指定し、有志のスタッフが集まり、ロープレの実践やフィードバックを行うものです。
もともとは全国大会に進む選抜メンバーのみを対象に実施していたのですが、接客を学びたい方の参考になればと、お客様役などの協力者をテナント全体から募ったところ、「参加したい」との声が増え拡大しました。日本ショッピングセンター協会や自社のロープレ大会の予選会から決勝選抜、大会など各選考段階の1カ月ほど前から自主練の時間を設け、年間約30回近く開催しています。
――「参加したい」と思ってもらえる研修とは。
研修の際は常に、〝人と人とをつなぐ〟ことを意識しています。参加者に話を投げかけ、その話への反応をまた別の人に促したり、参加者の実演に対しての感想を別の参加者に尋ねたりと、参加者同士の視線が交わり、交流につながるよう努めてきました。今では参加者が「チーム土岐」と呼び合い、チームで頑張る雰囲気が生まれています。
また、練習では「指摘をするときは二つ以上褒めてからする」「いつ来ていつ帰ってもよい」など、独自ルールを設定しています。忙しい業務の合間でも気軽に来られて、仲間たちとの交流や励ましがモチベーションになるようにとの思いからです。チームで取り組むことで、自分では気づけなかった自身の魅力や課題を知ることができるため、「自分を見つめ直す時間になる」と進んで練習に参加する従業員も沢山います。
正解のない世界
――接客で大事にしていることは。
研修をしていると「正解を教えてほしい」と言われることもあります。でも接客には正解がありません。「自分の魅力を知り、たどり着いた結論が正しい」とお伝えしています。
自己が確立していなければ、人相手の仕事はうまくいきません。クレームやその場の感情に左右されず、自分の役割をブレずに全うするためにも、チームで声を掛け合って、自分の魅力を発見して欲しいです。