がんサバイバーの元バイヤーが起業したトキメクジャパン
塩崎良子さん
若年性乳がんをサバイブした女性経営者が新事業を立ち上げた。自身の経験を踏まえて考案した、おしゃれなお見舞いギフトボックスがそれ。代表の塩崎良子さんは、「がん患者は国内だけでも500万人。ニーズはあるはず」とみており、購入型クラウドファンディング(CF)の実施を経て、定期購入型のギフト事業にも乗り出す予定だ。
ショーを契機に起業を決意
塩崎さんは、20代前半に東京・中目黒のセレクトショップでバイヤーとして働き、26歳で独立。05年に中目黒、09年に六本木に専門店を開くなど、充実した毎日を送っていた。店の経営も順調だった14年1月、そんな日常ががんの告知により、突然暗転した。1年の闘病期間中に店だけでなく、髪も胸も失った。「カラフルだった毎日がモノクロになり、『がん患者』という枠の中で生きることを強いられた」。33歳の時だった。
入院中のある日、当時の主治医から「ファッションショーをやらないか」と提案を受けた。入院中、塩崎さんが他の患者たちにメイクをしたりドレスを着せたりしていたのを知っていたからだ。全国規模のがんの学会の最終日、患者だけでなく、医師もモデルになりショーを開き、大いに盛り上がったという。この7月にも2回目を開いた。
ショーをきっかけに塩崎さんは起業を決意。「自分の経験を、がんの患者さんや社会のために使いたい。限りある自分の人生のためにも」。退院後すぐに大学に入り直して事業アイデアを作り、16年2月には社会起業家を輩出するビジネスコンテストでグランプリを獲得した。
7月には元ディー・エヌ・エー会長が経営するベータカタリストの支援を受けてトキメクジャパン(東京)を設立し、代表に就いた。
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