豊島 20~21年秋冬素材提案は履歴管理×技術

2020/01/08 10:58 更新


 専門商社の豊島は、20~21年秋冬素材展でトレーサビリティー(履歴管理)とテクノロジーを打ち出した。原料から製品までトレースできるオーガニックコットンや再生ポリエステル、AI(人工知能)で生産ロスを低減する仕組み、大学の研究者と組んだスマートウェアなどを見せた。WWF(世界自然保護基金)ジャパンと共同し、ファッション分野で環境問題の解決にも取り組む。

(近藤康弘)

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 展示会では九つのサステイナブル(持続可能な)素材を紹介した。トルコのウチャクと独占販売契約を結んだオーガニックコットンは、管理された農地で栽培され、機械で収穫するため不純物の混入が少ない。

 ウチャクは農場と紡績工場を所有し、トレースできる。豊島との取り組みで再生ポリエステルや「テンセル」などとの混紡の開発も進める。

 トルコでは環境配慮型のデニムパンツも作る。生地から縫製まで一貫生産する中で、最先端のレーザー加工による作業時間短縮、オゾンウォッシュによる化学薬品の使用量の削減、独自のウォッシング機で水の使用量を約65%カットする。生地や副資材でもサステイナブル対応が可能だ。

 抜群のストレッチ性と伸張回復率で販売が好調な「ワンダーシェイプ」は、サステイナブル素材を使ったシリーズ「ワンダーシェイプ・グリーン」を出した。サステイナブルな素材を使いながら高い機能を保つ。染色工場との取り組みで燃料の一部に天然ガスを使うほか、染色工程の水の約60%を循環利用する。

 「PBR・ZERO」(ペットボトルリサイクリング・ゼロ)は、再生ポリエステルを30%以上使ったペットボトルや紡績工場の廃棄物を使った100%リサイクルの素材。AIでパターンを作成し、生地を無駄なく使うようにするパターンメイキングシステム「シンフラックス」の協力で作った布帛や丸編み製品も見せた。

 東京大学発のベンチャーで豊島がCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)で出資するゼノマのスマートウェア「イースキン」は、来春にアーバンリサーチがスマートパジャマを発売する。取り付けたセンサーが検知した体の動きや体温をIoT(モノのインターネット)と連動させる。

 23年の実用化を目指す「HYOHI」(ヒョーヒ)は、東京大学生産技術研究所で発足した豊島ライフスタイル寄付研究部門が開発を進めている技術で、マイクロニードルとケミカルセンサーを使い、体調管理や安眠促進などに役立てることを狙う。

「PBR・ZERO」はAIでパターンを作成するシンフラックスの技術を使って紹介した


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