《視点》エコファーの広がり

2017/09/22 04:00 更新


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 今秋冬もファーを使ったアイテムがいっぱいだ。特にシューズやバッグは鮮やかな色に彩られ、今の気分にぴったりはまる。こうした色付けをかなえているのが、フェイクファーだ。

 言葉通り、天然の毛皮を模した織物・ニットのこと。生地表面にループを作り、そのループをカットして毛羽のように見せている。使用する原料は、主にアクリル。様々な色や柄が表現できるのは、この繊維の発色性が良いからだ。天然に比べると価格が安く、手入れが簡単なのも優れたところ。糸や加工の研究が進み、クオリティーも向上している。

 欧米では2年ほど前から、動物愛護などCSR(企業の社会的責任)の観点でフェイクファーに切り替える動きが活発だ。名前も、ネガティブな印象を与えるフェイクファーからエコファーに変化。日本にも波及している。

 デザイン、価格、扱いやすさ、動物愛護への関心、イメージの良さ。ヒットの背景には十分だが、それよりも腑(ふ)に落ちたのが、ある服地コンバーターが指摘した「安っぽくなければ、原料は本物でなくてもいい消費者が増えている」という傾向。今後の素材トレンドに大きく影響しそうな気がしてならない。

(侑)



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