《視点》事業領域の拡大

2017/11/15 04:00 更新


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 本業に注力しながら、新しい領域に踏み出す繊維企業が一段と広がってきた。滋賀の麻織物メーカーでは服地、和装と並んで寝具寝装品を柱事業の一つに位置づけてきたが、室内空間全体まで視野に入れ、18年春夏物向けに麻を生かしたリビングやバス周辺の雑貨開発を始めた。

 また、大阪の寝装インテリア関連商社が、他社からの原料貿易事業の譲り受けを機に、欧米アパレル向けの生地輸出を開始する。国内アパレル向けでもテキスタイル中心から製品供給まで本格的に踏み込む考えを示した。

 こうした動きに共通する狙いは「新たな伸びしろ」の獲得にあるという。消費の停滞感が市場全般に強まるとともに、生活の中でのファッションの位置付けも変わってきたとされる。既存の領域だけでは「業績拡大が見込めない」「変化する時代の中で生き残れない」とする企業の危機意識が感じ取れる。

 ファッション市場では、セレクトショップやアパレルブランドがライフスタイル提案を強め、逆に異業種からの参入も目立ってきた。事業領域の拡大と同時に、市場競争もさらに激しくなりそうだ。

(阿)



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