《視点》拍手

2017/11/17 04:00 更新


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 先日、ジャズスクールの定期演奏会を聴きに出かけた。ジャズは全員で演奏するテーマの後に各楽器のソロを回し、再びテーマに戻って終わる構成が多い。ソロでは、1人のパートが終わる度に観客が拍手する。演奏が非常に盛り上がったときなども同様だ。

 仕事でたまに、ファッションショーを見る機会がある。ランウェーもジャズのように、モデルが再登場するフィナーレやデザイナーのあいさつのときは拍手をすると思っていたが、会場が割に静かで驚いた。客席にいる人たちは皆、スマートフォンでの撮影で手がふさがっているのだ。ショーをよく取材する同僚記者に聞くと、最近はこういう光景が増えているとか。

 ショーの後にインスタグラムを見ると、さっそく会場の様子がいくつも投稿されていた。拡散力という意味ではブランドにもメリットがあるのだろう。

 拍手は意思表示でもあるので、内容がいまいちだから拍手しないのは理解できる。しかしそうでないのなら、大きな拍手でパフォーマンスをたたえてもよいのではと少しさみしい気持ちになった。

(石)



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