《視点》残業ゼロ

2018/05/22 05:31 更新


 ある社長の知人が勤めるIT企業は残業がゼロらしい。仕事の持ち帰りはシステム上できず、定時に必ず仕事を終える。さぞオフは充実しているかと思いきや、「久々に会うと痩せちゃってて」と驚いていた。

 聞くと、残業せずに納期通りにシステム開発するのがルール。業務管理は個人に委ねられている。タイトなスケジュールのなか、効率よく働き、仕事をこなす能力が要求される。

 疲れていたり、気分が乗らず、思うように仕事がはかどらないときもある。でも残業ができないので、働ける総労働時間は決まっている。結局、納期が近くなると、1分1秒神経をすり減らし、ストレスで痩せてしまった。「残業できる企業がうらやましい」とこぼしていたという。

 そう言えば、残業削減中のあるアパレル企業の役員が「終業前は職場が殺気立ち、現場に声すら掛けづらい」と話していた。

 残業削減は歓迎だが、働く側には高い能力が求められる。その能力開発は社員の自助努力に任せるのではなく、企業側の理解とサポートも必要だ。(森)




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