《視点》コロナ禍での活路

2020/07/29 06:23 更新


 新型コロナウイルスの影響が長引いており、テキスタイル産地など川上企業への影響も大きくなっている。川上は先物ビジネスが主力なので、商談がすでに終わっている20~21年秋冬向けでの影響は少ない。深刻なのは21年春夏、21~22年秋冬向けの商談だ。

 秋冬向けのウール素材などを主力としている尾州産地は、これから21~22年秋冬向けの商談が本格化する。例年ならば10月に展示会を開いてプレゼンテーションを開始。その後ジャパン・クリエーションや素材メーカー・商社などの展示会を通じて営業活動を行い、注文を固めていく。

 しかしコロナ感染拡大の度合いによっては、展示会から実商談へというこれまでのルーチンが通用しない事態も予想される。顧客の多い東京地区での営業活動もままならない「非常事態」とも言える状況だ。

 産地メーカーにとっては事業維持には厳しい環境だ。しかし、こうした非常事態は、新たな事業構築に向けて「おしりを押す効果」もある。ECなどのネット空間、そして製品ブランドへの対応、BtoB(企業間取引)からBtoC(企業対消費者取引)へと、新たな取り組みの萌芽も見られる。苦しい中だが、活路が開けることを期待してやまない。

(浅)



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