《視点》北風と太陽

2025/07/03 06:23 更新NEW!


 公共の場やコンビニエンスストア、小さな小売店まで、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止啓発ポスターをよく見る。客の理不尽な要求や悪質な迷惑行為が増えていることが背景にある。4月から東京都と北海道、群馬県でカスハラ防止条例が施行され、カスハラを明確に禁止し、事業者に対して防止措置を講じる努力義務が課せられた影響もあるようだ。

 ポスターを見ると、カスハラの事例をイラストなどで周知を図るものが多い。監視する目を描いた「みてるぞ」ステッカーのように、犯罪や迷惑行為を防止する目的の掲示物は、禁止を前面に出したものが一般的だ。

 一方、真逆の手法でいいなと思ったのがバスの最後尾のラッピング広告。ほのぼのとしたイラストと一緒に「ゆずってくれてありがとう」と書いてある。後ろの運転手の気持ちをほぐす作戦が新鮮で、初めて見た時は二度見した。トイレでも、きれいに使ってくれてありがとうという張り紙をよく見るが、バスのインパクトは大きい。「北風と太陽」のように、良心に訴えかけるカスハラ防止広告も、試してみたらどうだろうか。

(陽)



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