《視点》知って、備える

2022/05/18 06:23 更新


 綿花相場が依然として高騰している。主要な輸出綿花である米綿の価格は高い水準で推移。雨不足に対する懸念、中国での需要増、投機筋による買い付けなど複数の要因が絡み合う。米綿については、中国・新疆ウイグル自治区の綿花を取り巻く人権問題を契機に、欧米ブランドが新疆綿を避ける傾向が根強く、需要が米綿に向いている。

 同地区での人権問題に対する疑念は残ったまま。そんな問題に関わる新疆綿とどう向き合えばいいのか。米NPO(非営利組織)テキスタイルエクスチェンジのアジア地区アンバサダーなどを務める稲垣貢哉さんに聞くと、「仮に強制労働があったなら国連憲章に反する」と指摘する。「ILO(国際労働機関)も『強制労働はあってはいけない』と明確に定めている。少しでもその疑いのある物を使うのは危険」と念を押した。

 続けて強調したのは、「まずは自分たちが物作りに使う素材に使われている原料には必ず関心を持ってほしい。どこで誰がどのようにして作っているのか。消費者サイドはすごく関心を持っている」とのこと。深く理解するまではいかなくとも、知っておくと万が一何か問題が発覚した時に素早い意思決定の備えをしておけるはずだ。

(嗣)



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