柏木です。
業界紙の記者を長年やっていると、ファッション業界に就職した新入社員さん向けのセミナーでお話をさせていただく機会がたまにあります。
業界構造とか市場規模とかについて話すのですが、話の途中でこっちからも質問をします(一方的に話してばかりだと寝ちゃう人もいるので)。
ここ数年、定番の質問が「皆さん、ネットで服を買いますか?」。
2年前のセミナーだと、100人くらいいる新人さんのうち、「普通にネットで服を買う」という人は10~15人くらいでした。それが今年同じ質問をしたら、100人中、半分近くが手を挙げました。
日本でもファッションをネットで服を買う人は増えていて、市場に占めるECの比率は上がっています。
繊研新聞社の調べでは、ファッション市場でECの占める比率(メルカリとかC to Cは含まず、あくまでB to Cでですが)は、10%弱と言ったところなのですが…。今年、手を挙げた人がぐっと増えたところから推測するに、ここ数年のうちに、ネットで服を普通に買う人はこれからもっと増えていくってことみたいです。
最近は店に行く前にネットで商品や店について調べるお客さんも多いみたいで、定点観測取材で伺う、セレクトショップの店員さんも「最近は人気ブランドのコラボ商品とかの入荷情報はネットで先に入手して並ぶお客様が多い」と口をそろえます。
確かに繁華街を見渡すと、街行く人はたいがいスマホ画面を見ながら歩いていて、服を買うにしても、何をするにしても、外出して何かするというとき、行動の起点すらネットになってしまっているようです。
で、ここからが本題なのですが、服を見ることも、探すことも、買うこともネット起点になっていくと、ファッション小売りにとって、長らくお客さんとの唯一の接点だったリアル店はこれからどうなるのか。
買い物自体がネット中心になると、ネットで済む程度の買い物体験しか提供できないリアル店に人は来なくなる。
店数は、今後、多くは必要なくなるかもしれない。だったら、増えない、むしろ減っていく中で、リアル店は何をやればいいのか。
おそらく、実店舗からスタートした歴史を持つファッション小売りであれば、この問題について、いろいろ考えていることがあるのではなかろうかーー。
という想定のもと、最近のリアルをめぐるお店の動きに加え、今回は(諸事情により、取材が上手くできなかったところもあったのですが)、大手SPAではH&M、セレクトショップではアーバンリサーチのトップに、その辺のことについて聞いてきました。
いま、リアルでやるべきこと。
繊研新聞で本日25日から連載します。
ご興味があれば、是非、この機会に繊研新聞を読んでみてください。
ではまた。
かしわぎ・まさゆき 編集部記者。92年入社、大阪支社で商社など川上分野とアジアを長年取材。02年に東京本社転勤、現在、セレクトショップや外資系チェーン店などを担当。統計資料なども司るデータ番長。大阪府出身。
柏木のブログ集はこちら。