今月上旬、アメリカ在住36年にして初めてニューメキシコ州サンタフェを訪れた。店やギャラリー、レストランが集まる中心地の一角にあるセレクトショップ「ワークショップ」に入ったら、すぐ左手にサカイが結構なスペースをとって置かれていてちょっとびっくりした。
日本のブランドは全部で5つあると知り、サンタフェで日本のブランドをそれだけ一堂に見るとは意外だった。オーナーのショバーン・ポーターさんによると、アオドレスは2年前にミラノのショールームで見つけた。
カヴァルはパリのトラノイで見つけた。今秋の売れ筋は写真のドレスとシャツ。日本の古い織機で織られた布を使い、セラミックのボタンを付けるなどディテールに凝っている上、誰が着てもたいてい似合うことで人気が高い。
クリスチャン・ポーは、パリのマレ地区でこじんまりと独自に見せていた時に見つけた。ポーターさんは目立つ看板なしでこじんまり見せていても、面白そうならチェックしてみるという。ドレスとレザーのバッグを扱っている。
インディゴデニムとヘンプのブランド、コトルはブランド側からアプローチしてきて扱うようになった。男性にも売れている。
ワークショップの隣にはザ・ロウやドリスヴァンノッテンなどを扱うセレクトショップ「サンタフェ・ドライグッズ」があり、反対隣にはホームグッズを扱う「ワイルドライフ」がある。サンタフェ・ドライグッズは1989年にポーターさんの両親が開業し、2008年にポーターさんが両親から買い取った。ポーターさんは2013年にワークショップ、2018年にワイルドライフをオープンし、3店舗を監修している。ワークショップはドイツ、イタリア、韓国、中国、ベルギー、イギリス、ブラジルなどさまざまな国の新進デザイナーブランドを扱う。ポーターさんの背後にある帽子は、日本人とスウェーデン人のカップルによるスウェーデンを拠点とするブランド、ホリサキ・デザイン&ハンデルの帽子だ。
顧客は世界中から来る観光客が多く、それぞれのブランドがファンをつかんでいて、お客はサンタフェに来るたびに買い物に戻ってくる。ポーターさんに顧客の年齢層を聞くと、「50歳から100歳」という答えが返ってきた。70代、80代、90代でも新しくて高価なファッションにお金を使う女性たちを掴んでいるのだ。「(お客さんは)ルックス・グッド(見た目がよく見える服)ではなく、フィールズ・グッド(着ていて気持ちのいい服)を求めている」というポーターさんの指摘も興味深い。自分らしく感じられ、自分に自信を感じられる服、肌触りがよい上質の素材であることが非常に重要という。コロナ以前はポリエステルも結構あったが、今は自然素材とナチュラルダイにこだわる。かつて扱っていた日本の著名なデザイナーブランドで、合繊が多いという理由で扱いをやめたブランドもある。扱っている日本のブランドは、ゆったりしたシルエットの服が多い。サンタフェがスピリチュアルな場所であることから僧侶のようなゆったり感、そして徒歩圏内にあるジョージア・オキーフ美術館にインスパイアされた流れるようなシルエットの服が好まれ、日本のブランドの服はそうしたサンタフェの気分にあっているという。
3店舗で扱うブランドは200に及ぶ。それでもポーターさんはパリに行くたびに毎シーズン、6~10の新しいブランドを見つけてくる。新しいブランドはインスタグラムでも見つける。もちろん、毎日多くのブランドからの売り込みは絶えない。
またサンタフェを訪れる機会があったら、次はどんなブランドを発掘して選んだのか、見るのが楽しみだ。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)