今年30周年を迎えた「ヤブヤム」(パトリック・ライアン、吉田真実)は、東京・神宮前の直営店で過去のコレクションのショーの映像会を行っている。第一弾として、98年春夏から99年秋冬の4シーズンを編集した。
映像に出てくるのは、細かくギャザーを寄せたスリーブの構築的なドレスやドレープラインで構成したシンプルなドレス。一部の洋服には、重みのあるナチュラルカラーのリネンが使われ、ヤブヤムが注目を集めた当時を思い出させる。「僕はフランスで育ったからリネンは身近な素材だったけれど、あの頃、日本で流通するファッション素材にはなかった。それで、洋裁専門店で紳士服のジャケットに使う芯地を買ってきて、洗ってみたらいい感じになったんだよね」とパトリックは振り返る。
ユニセックスのショーには、男性モデルがスカートを着用して登場する。「今は珍しくないけど、男性用のスカートを発表したら、多くの人が『ええー』という感じだった。ショーは17年間続けた。30年やってこれたのは、僕たちの洋服を大事に売ってくれるバイヤーに恵まれたから」という。
「ずっと物作りの姿勢は変わりませんが、生活スタイルに合わせて作ることを心掛けています。最近、都心と地方で生活する人のニーズが異なっていて、地方のお店からは天然素材の服が欲しいと言われます。それで昔の雰囲気を持った洋服を充実させるようになりました」と吉田は話す。