軽くて暖かいフェルトを使い、少しとがった個性的な作品を制作するフェルト作家がいる。京都で活動する山本亜希さんだ。「陶芸やパン職人に近い感覚」で、羊毛繊維をもんだりたたいたり。「とにかく力仕事」なフェルトの制作活動を24年間続け、秋冬限定の展示即売会で濃いファンを増やしてきた。
(小坂麻里子)
秋冬へ制作の日々
フェルトは、羊などの動物繊維が絡まり合うことで布状になったもの。専用の針でサクサクと刺すことで形作るニードルフェルトもあるが、山本さんのフェルト制作は紀元前の頃と同様の手法を用いる。
何層にも重ねた羊毛繊維に水や湯をかけ、もんだりたたいたりして圧力や刺激を与える手法だ。縮絨(しゅくじゅう)で約3割縮むため制作計画は綿密で、デザイン画や下絵のもと、作りたいサイズになるよう原毛をグラム単位で計量する。フェルトに専用の針で羊毛を刺し模様を描くこともある。
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