約5500人が来場した「山梨ジュエリーフェア2024」 絞り込んだ企画、甲府ならでは

2024/04/23 14:00 更新


 4月10~12日にアイメッセ山梨で開かれた「山梨ジュエリーフェア2024」(主催=インフォーママーケッツジャパン、山梨県ジュエリー協会)は、145社(前年143社)が出展、3日間で5534人(5590人)が来場した。ジュエリー素材価格が高騰し、市場の二極化が進む中で、強みとする技術やターゲットを絞り込んだ企画で差別化を狙う企画が目を引いた。また、ジュエリー産地ならではの職人技が光るブースも並んだ。

(中村維)

海外からバイヤー招く

 出展者数、来場者数ともに前年並みとなった。会場内では、在日中華圏ライバーの姿が減少した一方で、インフォーママーケッツは海外からバイヤーを招待し、対面での商談につなげた。また、ジェトロのサポートプログラムとしてタオバオのショップオーナーやKOL(キー・オピニオン・リーダー)を招き、出展社とのマッチングを試みた。ファインジュエリーを扱う出展者からは、景気の影響か中国人バイヤーが以前のような高単価商品を仕入れなくなっていると複数聞かれた。国内向けは、コロナ禍がほぼ終息したことで地方からの新規バイヤーが増えた感があるとの声が上がった。

来場者数は前年並み

 ジュエリーメーカーの山宝(甲府、田中由美社長)はこの間、通販やテレビショッピングといったチャネル向けの企画を充実している。金価格高騰を受け、より単価が通りやすく安定したミセス市場を意識しての商品戦略だ。その中でも支持が高まっているアイテムが24K製ジュエリー。トレンドのコインネックレス(14万円=本体卸価格)や、クラシカルなレース調のペンダントトップ(6万3000円)など、普段使いしやすいファッション性の高いデザインに落とし込んでいる。純金は柔らかく、加工が難しいため作れる職人が限られるが、金への関心の高まりもあり、反応が良い。

山宝

 グラマラスなデザインのメンズジュエリーがずらりと並んでいたのは、クリエイトタカノ(甲府、柳本力社長)。同社ではレディスジュエリーだけでなく、約40年前からメンズジュエリーのOEM(相手先ブランドによる生産)や卸を続けてきた。「印台リングからスタートし、当初はそれほど動くものではなかったが、チョイ悪オヤジブームや木村拓哉さんのシルバージュエリーブームなどを経て、ジュエリーを身に着ける男性が次第に増えてきた」(クリエイトタカノ)。多様性の時代となり、裾野が拡大。地金価格高騰を受けた第2次喜平ネックレスブームも重なり、メンズ売り上げの伸び率が顕著だと言う。新作では、その喜平チェーンのトップに下げられるペンダントトップを提案した。合計1カラットのダイヤモンドをセットしたプラチナ製クロス(200万2000円=税込み参考小売価格)や、0.5カラット分のダイヤモンドをセットしたK18製馬ていモチーフ(97万9000円)など。太幅のチェーンが通る作りになっている。

クリエイトタカノ

色の透け感の変化

 ピアリング(甲府、宅間謙二代表)は、40年以上イヤリングに特化して製造・開発し、複数の特許技術を持つ。ピアスのようなイヤリング「ピアリング」は、年間140万点のオーダーが入る代表アイテムだ。フープ型を軸としたピアリング製品は、中央から両端に輪が開き、耳たぶを挟んで閉じて留めることができる。様々なデザインバリエーションがあり、18K、プラチナ、14K、10Kで対応できる。

ピアリング

 甲府は、かつて水晶が産出されたことから、貴石の加工技術が発達。高度な貴石彫刻や研磨を行う伝統工芸士が集まる産地でもある。宝石、貴石の彫刻研磨を行う貴石彫刻オオヨリもそうした工房の一つ。円すい型のペンダントトップ(税込み小売価格3万1900円)は、フロスト加工した水晶の底面に色石を貼り合わせるダブレットの手法で作った。サイドには斜めにカービングを入れ、色の透け感の変化が楽しめる。 

貴石彫刻オオヨリ

 詫間宝石彫刻は、シルバーに半貴石をコンビにしたチェーンを見せた。一つのコマの半分がシルバー、半分がブルーカルセドニーやクオーツ、オニキスになっている。それぞれの素材を組み木のように凹凸を付けて組み合わせている。

詫間宝石彫刻


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