「ユキ・トリイ」21~22年秋冬コレクション アーカイブとともにどこかレトロなスタイル

2021/03/29 06:26 更新


 「ユキ・トリイ」(鳥居ユキ)は21~22年秋冬コレクションを動画で発表した。国立新美術館と島根県立石見美術館で開催される「FASHION IN JAPAN」に70~80年代のアーカイブを出品するにあたり、過去のコレクションを振り返って新作と共に見せる動画にした。1979~2008年にパリで発表したコレクションを着たマネキンがジャーナリストのようにランウェーの両脇に並び、そこにモデルが登場する趣向だ。

 ビンテージもののようなくすんだブラウンやスポーツウェアを思わせるブルーのキルティングアウター、古いスカーフのようなパネル柄スカートと、新作もどこか懐かしさが漂う。スタイリングはプリントスカートにはパーカ、ドレスには短め丈のカーディガンなど、リアルな日常向けだ。最近人気の段ボールニットは、色切り替えで特徴を出した。デニム生地をプリントで表現したジャケットとパンツ、エッフェル塔を編み込みで描いたセーターも目を引く。

 アーカイブは本社ショールームでも見せた。多色のジャカードや刺繍で飾ったニット、様々な生地のパッチワーク、デニムを切り替えや切りっぱなしで使ったものなど、得意のアイテムがずらり。ボヘミアン、スポーツ、グランジなどのミックススタイルもブランドならでは。肩が大きめ、少しボディーコンシャスなどはあっても古さを感じさせないのは、丁寧に作りこんだ手仕事の魅力によるものだろう。ニットは厚みがあってディテールには立体感があり、重ねた生地は着るのにもパワーが必要そうだ。軽くてイージーケアが着る人が求める今のトレンドだが、アーカイブで忘れていた服を思い出す。5月には銀座店でも展示する。

(赤間りか)

ジャーナリストに見立てたマネキンの間にモデルが登場する(写真=ブランド提供)
本社ショールームでランウェーに見立ててアーカイブを展示(写真=加茂ヒロユキ)


この記事に関連する記事