ガラス張りの一体感
「あくまで事務所の一部」。セルツリミテッドの中川有司社長は、社長室の役割をこう話します。
もともと別フロアにあったのですが、12年の11月に従業員の事務所スペースと一緒に新しい社長室を作りました。フロア全体の内装、インテリア、照明を手がけたのはインテリアデザイナーの森田恭通さん。
「これからの社長は周囲から見られてなきゃいけない」がコンセプトで、社長室の回りの壁は、カーテンのドレープをイメージした曲線のガラス張りです。
位置もオフィスに入ってすぐの場所で、社内スタッフも来客もまず社長室に目が行くようになっています。
室内の様子がどこから見ても分かる社長室の中で、目を引くのがデスクの背後に掲げられた絵。
中川社長と同世代のアーティスト、コンラッド・リーチの作品です。
アメリカの国旗をモチーフにしたこの作品は、米国生産のバッグ「ブリーフィング」を販売する同社にふさわしい、と飾ることに決めたそう。
ちなみに応接セットのガラス張りのテーブルの下にもコンラッド・リーチの作品が飾られています。この部屋用の描き下ろしで、桜の花をモチーフにしています。
このほか、作り付けの棚に写真集などに交じって、松坂大輔さんのユニフォームなど、親交のあるスポーツ選手から贈られたグッズも。
こうした棚や、ソファ、机など社長室の調度品は、ガラス越しにある、スタッフが働くスペースの机や棚などとすべて同じ高さにしてあります。これは森田さんのアイデアで、家具の高さをそろえると「ストレスを感じにくいから」と設計段階からこだわったそうです。
目線の高さが同じになっているうえ、どこからでも中が見える作りにすることで、「来客もすぐに分かるし、社員ともガラス越しに目で合図してやり取りができるなど、会社の一体感も出るようになった」と言います。
文字通りガラス張りで誰でも中が見えることについて「社長室は社長のプライベートの場所ではないから」と中川社長は話します。社長室に通じるドアには「笑顔でノックを」の文字。
「社長の定位置というより社員のコミュニケーションツールとして使えるのが一番いい」そうで、それができるこの社長室は「気に入っている」とのことです。