今年1月に東京・ビッグサイトで開かれたJFWインターナショナル・ファッション・フェア(JFW-IFF)には、アジア地域からも多くの出展があった。出展を重ね、既存取引先のある企業も少なくなく、新規取引先の開拓でも成果を挙げた。このうち、インターナショナルゾーンに団体で出展したバングラデシュとタイの出展者を紹介する。
《タイ》服、レザー小物、アクセサリーと幅広く
タイから23社が出展し、タイパビリオンを形成した。バイヤーは、「チャイナプラスワンの有力候補のひとつ」として注目し、OEM(相手先ブランドによる生産)先やメーカーを探しに訪れた。出展を重ねている企業が多く、「新規の来場は少ないが、潜在力を感じる」と期待の声が聞かれた。
子供服主力のOEM、ハート・アンド・マインド・アパレルは、国内の自社工場で生産し、素材も8割を国内で調達している。カットソーは編み立てと染色の工場も持つ。欧州有力ブランド向けの子供服や婦人服生産が多く、日本向けの比率は10%と少ないものの、「将来的には30~35%にしたい」と意気込む。OEMのロットは500枚以上で、小口を希望する先には、オリジナルブランド「ミリオンズ・オブ・カラーズ」(子供服)、「ピクシー・ダスト」(婦人服)を提案する。以前は100%OEMだったが、今回のJFW-IFFではOEMとオリジナルを求めるバイヤーは半々だった。
ガラスアクセサリーの製造販売、ライラン・デコー・インタートレードは、オリジナルブランド「タイベトロ」を紹介した。プーケットに自社工場を持ち、すべてが手作りの一点物。15年春夏は、本物の花や造花をガラスの中に入れたシリーズを新たに企画した。タイに5店の直営店を構え、東京・南砂の「スナモ」にショップ「ヴェトロシア」がある。
雑貨OEMは、レザーバッグ・革小物のニーズが高かった。牛革のバッグ・小物を生産するオリエンタルバッグは、8回目の出展。「素材と縫製の質の高さ」を武器に、「たくさんの名刺を受け取った」。日本人は決めるのに時間がかかるケースが多いが、「新たに出会った相手とは、数年後に成果につながれば」と期待する。
日本向けの比率拡大を目指すハート・アンド・マインド・アパレル(タイ)
《バングラデシュ》皮革製品中心に出展
商務省輸出促進局が6社、日本でバングラデシュ製品のソーシャルビジネス1社が出展した。関係者は「展示会は満足いく機会となった。皮革製品を中心に出展し、特に靴はいい商売ができたようだ」という。
バッグのBBJレザーグッズは、靴のABCフットウエアインダストリーズのオーナーが日本との合弁で4年前に設立し、両社とも対日輸出が100%。靴は月4万足、バッグは月2万本を生産し、イオン向けなどが主力。4年前から出展し、バングラデシュ製品の「日本でのシェア70%程度」と高い。「小型や軽量、トートバッグなどが人気」だった。FOB(本船渡し価格)はバッグ30~50ドルが中心。靴はメンズビジネスが主力で、18~24ドルを中心に50ドル以上もある。レディスもブーツやドレスなど幅広く対応できる。工場は1200人体制で、今年6月には隣接地に新工場も開設する。
米国との合弁、USバングラは靴以外の皮革製品を生産、90%を日本に輸出している。不動産やホテル、学校、病院、メディアなど幅広く展開し、皮革製品への進出は3年前。日本の有力ブランドのOEMも手がけ、3回目の出展で「新規取引先を獲得できた」。受注は「10万ドルは受けたい」と期待が大きい。品質管理にも自信を持ち、専門の部署も設けている。
ソーシャルビジネスの「iimon」は、農村の女性が手作業で刺繍する伝統製品ノクシカタなどを日本に紹介し、100人以上がブースを訪れた。代表のシャモヒウディンさんは日本で半年前からビジネスをスタートし、日本に「若い才能や現地の企業を開花させるための適切な指導や援助が必要」という。価格はリサイクルなら2100円、新品なら4200円程度で、「利益は原材料、農村の女性たち、投資した人に3分の1ずつを分ける」仕組み。
ABCフットウエアインダストリーズ(バングラデシュ)
(2014/02/06付繊研新聞)