ドルチェ&ガッバーナ 観客を伴うショーを開催

2020/07/22 10:59 更新


 ドルチェ&ガッバーナが、21年春夏メンズコレクションを、観客を伴うファッションショー形式で発表した。このファッションウィークは新型コロナの影響によりデジタル形式での発表となったが、エトロとドルチェ&ガッバーナは、招待客数を絞り、政府の定める安全基準を順守した上で、観客のいるショーの開催に踏み切った。招待客は計260人で、伊を中心に、少数だがEU(欧州連合)圏内からも呼んだ。

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 ドルチェ&ガッバーナのショー会場は、ミラノ郊外のウマニタス大学の中庭。招待客の検温や入場ルート、座席の配置、マスク着用など、感染予防のために細心の注意が払われた。当初はモデルもマスクの着用を予定していたが、ショー当日からロンバルディア州における屋外のマスク着用義務がなくなったため、マスクなしでの出演となった。同ショーはオンラインでも配信した。

ドルチェ&ガッバーナ ©DOLCE&GABBANA

 ショーは伊の男性オペラ歌手3人のユニット、イル・ヴォーロによるカンツォーネの熱唱で開幕。南伊の海を思わせるブルー、リネンやしっくいの白のグラデーションが爽やかな103体が登場した。コレクションのインスピレーション源は、1960年代に伊の建築家ジオ・ポンティが設計した、ソレントのデザインホテル「パルコ・デイ・プリンチピ」。ホテルのセラミックタイルの幾何学模様、庭のビーナスの小神殿、ネオクラシックの彫像のモチーフが、ローブやオーバーサイズのパーカ、シャツ、スーツなどに散りばめられている。3着を重ねながら再構築したような左右や前後がアシンメトリーなジャケットやシャツも。異素材をミックスしたり、幾重にも重ねたり、異なるシェイプを融合させたり。バカンス時のリラックスした遊び心を感じさせると同時に、それを支えるテーラーリングの技術発見の驚きも楽しいコレクション。

 キーワードは「建築」と「イタリア屈指の才能」。シェイプ、ボリューム、コントラストで形作られる建築的要素に、芸術、彫刻、手工芸などが各アイテムの中で再構築されている。伊のファッション界もコロナ禍により難しい局面を迎えているが、伊の創造性と職人技を誇りに思い、前進していこうという勢いを感じ取ることができた。

ドルチェ&ガッバーナ ©DOLCE&GABBANA
ドルチェ&ガッバーナ ©DOLCE&GABBANA

 ドルチェ&ガッバーナは、1年以上前からウマニタス大学(病院、研究・教育センター)への支援を続けており、学生への奨学金やコロナウイルス研究への支援金を提供している。また、このショーはチャリティーイベントとしての側面もある。ショーの間にクラウドファンディングで寄付金を募り、それを同ブランドが倍額(各寄付金につき上限1000ユーロ)にした上で、研究支援金として同大学に寄付する。

(ミラノ=高橋恵通信員)

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