22年春夏ミラノ・メンズコレクション 光り輝く生命を礼賛=ドルチェ&ガッバーナ

2021/06/23 06:30 更新


 22年春夏ミラノ・メンズコレクションはデジタルでの発表をメインにしながら、フィジカルなショーや展示会が市内各地で開催されている。観客を入れたショーを行うブランドもあり、コロナ禍からの復活が徐々に進んでいる。

〈フィジカル〉

 今回、ミラノ・ファッションウィークで開かれるリアルショーは3ブランドのみ。ドルチェ&ガッバーナは、同ブランドのイベントスペース「メトロポール」を会場に、1000人のキャパシティーのところを、約300人に招待人数を絞って開催した。イタリア国内に加え、ドイツ、フランス、スペインなど欧州からも来場した。

 会場は、シチリアの伝統的な祭りのイルミネーションで埋め尽くされた。色とりどりの光が鏡の床と壁に反射して、祝祭ムードが果てしなくリフレインする。「ライト・セラピー」と題されたこのコレクション。電飾のせり舞台から華々しく現れたのは、漆黒の闇に浮かび上がるルミナリエのように、黒地にラインストーンを刺繍した、テーラードジャケットやボンバージャケット。光をかたどった鮮やかなプリントのシャツやローブ、きらめくジャカードのスーツは、光り輝く生命を礼賛するようにみえる。

ドルチェ&ガッバーナ

 「2000年ファッション」とプリントしたTシャツも登場。00年代にはやった腰ばきのデニムパンツには、ラインストーンが散りばめられ、ウエストからはロゴ入りの下着がのぞく。コロナ禍の出口が見えてきた今、屈託なく幸せな時を謳歌(おうか)していた00年代の熱狂をもってポジティブに、そして楽観的に前に進もうと、招いているようにみえた。

ドルチェ&ガッバーナ
ドルチェ&ガッバーナ

(ミラノ=高橋恵通信員)

〈デジタル〉

ワードローブにある非日常性=プラダ

 プラダは、赤いトンネルから開放的なビーチへと続くストーリーを配信した。軽やかなショートパンツをキーアイテムにした若々しいスタイルが充実する。太ももをあらわにしたマイクロショートパンツ、シャツからつながるコンビネゾンもマイクロ丈。そこにグラフィカルなスクエア柄やビーチチェアを思わせるストライプ柄をのせていく。チューリップハットのような帽子は後ろ側のブリムが長くて「ダースベーダー」のマスクのよう。コーティングの艶を重ねた帽子やコートは機能性を感じさせる。ボートネックのセーターは襟元がほつれたように毛糸が重なる。ゆったりめのテーラードジャケットは、カーディガンやストライプT、ストレートパンツやサンダルと合わせたリラックススタイル。

プラダ
プラダ

 マイクロパンツのボーイッシュな雰囲気は、かつてのプラダもラフ・シモンズのコレクションでも見られた。それぞれのオリジンを重ね合わせたようにも受け取れる。ビーチスタイルとテーラーリングの組み合わせは、これから先の男性のテーラードスタイルの行方を暗示しているようにも思える。リラックスした快適なムードと構築性のコントラスト、男性のワードローブの中にあるちょっとした非日常性、それが不思議な魅力を放つ。

プラダ
プラダ

 今、世の中の男性のスタイルが大きく変化している。新しい時代を感じさせるスタイルをデザイナーたちが模索している。ラフ・シモンズとミウッチャ・プラダはその未来を描くところまでは到達していないものの、そこにつながる萌芽のような何かを提示したようにも思える。

(小笠原拓郎)



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