アメリカンアパレル、連邦破産法申請

2015/10/08 06:20 更新


 【サンフランシスコ=立野啓子通信員】米国の大手アパレルメーカー、アメリカンアパレルは5日、日本の民事再生法にあたる米国連邦破産法11条適用を申請した。09年度以降、収益力が低下し、特に過去2年半は減収、大幅赤字で借入金が増大、経営難に陥っていた。創業者で昨年12月に退職したダブ・チャーニー前CEO(最高経営責任者)との訴訟も要因となった。

 筆頭株主のヘッジファンド、スタンダード・ジェネラルをはじめとする5社のプライベートエクイティと投資会社が今後の金融を担当。3億㌦の借入金を1億3500万㌦以下に減らし、新たに9000万㌦の資金を注入、7000万㌦を運転資金として活用する。

 ポーラ・シュナイダーCEOは、「リストラで基盤が強くなり、活気ある企業となる。金融の改善でビジネスに焦点を当てることができて、従業員、納入業者にも利益をもたらす」とコメント。今後6カ月間リストラを進めるが、従業員9000人は解雇せず、19カ国の227店舗と50カ国のオンラインの営業も継続する。


 アメリカンアパレルは89年にカナダ出身のチャーニー氏が創業した。生地から染色、縫製、スクリーンプリントまで全てロサンゼルス生産。順調に伸びてきた業績が減速し始めたのはファストファッションとの競合もあるが、09年度に違法移民とされる従業員の半分を解雇しなければならず、そのために新たな従業員の訓練が必要になったことと、その後の綿花価格上昇が収益力を直撃した。

 この間、チャーニー氏のセクシュアルハラスメントに対する従業員からの訴訟などスキャンダルが話題になり、14年度の訴訟費用は140万㌦。15年度はチャーニー氏が会社に訴訟を起こし、費用は360万㌦といわれる。13年度のピーク時の売上高は6億3390万㌦で1億630万㌦の赤字、14年度の売上高は6億890万㌦で6880万㌦の赤字だった。07年度の最盛期に15・8㌦を付けていた株価は破産法申請前日には11㌣に下落していた。



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